日本労働社会学会『通信』

vol.X, no.1(1999年1月)

日本労働社会学会事務局

(学会ホームページ)http://www.jals.jp
 

―第10回大会特集号―

  新年あけましておめでとうございます。

 昨年11月2〜3日の両日、静岡大学浜松キャンパスにて開催されました第10回大会は、無事盛会のうちに幕を閉じました。初日の2会場での自由報告、2日目のシンポジウムともに、白熱した議論と有意義な情報交換がなされました。報告者、参加者のみなさま、並びに、大会・工場見学の準備・運営にあたって下さいました静岡大学の担当会員ならびに大会事務局の方々に深謝いたします。大会・工場見学の模様につきましては、本『通信』に報告・論評が掲載されております。
 さて、本学会の年齢もいよいよ2桁に入りました。本『通信』は、先の大会で承認いただいた選出幹事を含めた新たな幹事・事務局体制での第1号となります。この間、本学会では幅広い層から新入会員があり、幹事会といたしましても、学会運営のさらなる改良や新たな企画の提案などを準備しております。会員のみなさまからの率直なご意見をぜひお寄せ下さい。
 また、現在本学会は、内容の充実に反比例して経済的には非常に切迫しております。大会に欠席なさった会員には、98年度および滞納分の会費請求書を同封させていただきました。諸事情お察しの上、どうか早急にお振り込みをお願いいたします。
 なお、事務局の不手際で本『通信』の発行が遅れたため、すでにお寄せいただいていた原稿や同封の通信物の遅配につながりましたことをお詫びいたします。
 本年も会員のみなさまの研究の益々のご発展を祈念いたしております。

 

I. 第10回大会報告

 第10回大会は、延べ70名の参加を得て、興味深い報告をめぐり活発な討論がなされました。一部、郵送されたレジュメがこちらの手違いで報告に間に合わないなどの不手際があり、関係者にご迷惑をおかけしました。以下、シンポジウム、自由報告、工場見学についての会員による報告・感想を掲載いたしますが、ここでも、感想文依頼の遅れから、全報告へのコメントが果たされなかったことを重ねてお詫びいたします(前事務局より)。

 

 

1.シンポジウム報告

 

第10回大会シンポジウムの感想

                        赤堀 正成(一橋大学大学院)

 シンポジウムは「国境を越える労働社会」という意欲的なテーマで行われた。報告はつぎの4つである。

 報告者,報告内容にもみられるように,シンポジウムは昨今の経済,労働の著しい変容を見据えたものであった。
 山田信行報告はやや抽象度の高いもので,世界システム論にしばしば特徴的なシェーマ的方法を用いて労資関係を論じたものであった。1980年代後半以降,「新国際分業」に代わる「ポスト新国際分業」の形成可能性とジャパナイゼーションの関連を論じて,「ポスト新国際分業」におけるジャパナイゼーションは「新国際分業」の雇主優位に編成された労使関係を完成させるとともに,周辺においては労働者の技能形成を促進させるポジティブな側面を持ち合わせている,と結論された。多国籍企業の展開要因としては,市場の獲得を措いて,低賃金労働力を重視した。
 アンジェロ・イシ報告は,日系ブラジル人の日本への出稼ぎについて具体的に論じた。入管法の問題,出稼ぎ日系ブラジル人のブラジル本国での「高学歴」「ホワイトカラー」的性格,彼らが日本において参入する3K的な労働市場,そこから生じるステータスのギャップ,労働観・労働意識,などの様々な問題を,著者の見聞を交えながら指摘したものであった。
 塩沢美代子報告は,報告者の活動家としての豊富な経験も交えながら,アジアに進出している日本企業の行動,それと闘う労働者の国境を越えた連帯の現状・課題について詳細に論じたものであった。また日本における労基法改正がそうした運動に及ぼす深刻な影響も触れ,日本の労働問題が単に日本の労働問題だけではありえないという認識を具体的事例に則して深めさせるものであった。
 テリエ・グローニング報告は,主にジャパナイゼーションをめぐる様々な理論的枠組を整理して,それらのメリットとデメリットを勘案して新たな理論的枠組の構築を目指したものである。報告は,日本的組織を「強制と同意」の相互作用モデルと捉えるJ. Price,P. Stewart,T. Besser,L. Grahamらの理論枠組に着目しこれがもつ弱点を,A. Etzioni,R. Collinsらの組織論によって乗り越えようとするものであった。
 以上のように,山田報告とグローニング報告は理論問題を扱い,イシ報告と塩沢報告は具体的事例を扱っていた。シンポジウムではそれぞれの報告に対しては質問,意見などが多く出された。しかし,理論問題と具体的事例と,両者を媒介させる段になるとその糸口はなかなか見出せなかったように思われる。
 理論問題を扱った2報告は扱う問題の階層を異にしつつも相互に関連しているもので,ジャパナイゼーションの位置の重要性について示唆するところが多かった。しかし,いずれも報告においては,理論レベルの整合性に重心がやや傾きすぎて,理論内部から具体的対象にひらかれている回路,或は,それら理論を具体的分析に適応した場合に発揮されるべきメリットが見えづらかったように,私には思われた。
 ジャーナリスト,労働運動活動家がそれぞれに具体的事例を扱った2報告は今日の日本の労働をめぐる諸問題が同時にまさに「国境を越えた」ものであることを具体的に指摘したもので,今後の労働社会学のすすむべき方向の一つを示しているように,私には思われた。

 

シンポジウム『国境を越える』に参加して

                        尹 淑鉉(ゆん・しゅくひょん)

                        (学振・大阪市大 外国人特別研究員)

  静岡大学の浜松キャンパスの大きな金木犀には黄色い花が一杯咲いていた。爽やかな秋の風に乗ってキャンパスを漂う香りに引かれ、私は引馬知子先生と金木犀を眺めながら昼食休みを楽しんだ。
 私は幸運だった。今年の7月に会員になったばかりなのに、さっそく発表のチャンスを頂き、また、スズキ自動車工場の見学や懇親会を通じ、大勢の先生とお話することができた。たった二日ですっかり労働社会学会の家族になったような誇らしさを感じていたところ、はからずも京谷栄二先生から学会の通信に乗せる感想文を依頼されて、その嬉しさは倍加した。労働社会学会の会員になって本当によかったと思う。入会をお勧め下さった藤田栄史先生に感謝したい。
 大阪空港の地に降りてから10年目。韓国の大学で日本語を専攻したものの、関西弁に慣れるまでは6ヶ月、そして韓国語にはない日本的表現の「〜させていただく」を自然にしゃべれるまでには1年がかかった。今や一人考える時も韓国語ではなく日本語である。夢を日本語でみることもあった。懇親会の帰り道で八木正先生や平川茂先生とコーヒーを飲みながらこんな話をすると、「人類学者などは研究の国に同化してしまって研究に困ることが多いんだって」と、平川先生が笑いながらおっしゃった。“韓国は近いから年に何度でも帰れるし、私は大丈夫”と思ってみたものの、ちょっと不安になる。
 さて、実はシンポジウムには2回目の参加である。10月3日に日本大学会館であったフレシンポジウムにも参加していた。リハサルシンポジウムに参加するのは初めてのことだった。シンポジスターの報告に対してフロアからたくさんの質問や注文が出たが、そこにはシンポジウムをいいものにしたいという会員たちの愛情があった。それから1ヶ月後。このときの会員たちの質問や注文がシンポジスターに十分に伝わって、さらに立派なシンポジウムになっていることをすぐに感じた。ほぼ完璧である。“なるほど、労働社会学会大会はこれだけ緻密な準備過程を経て行われているんだな”と、私は大きな会場の隅で誰になくうなづいた。
 シンポジスターの組み合わせもよかったと思う。テリエ・グローニング先生の欧米における日本的経営の研究状況に関する報告は、「国境を越えて」というテーマをさらに意味のあるものにしてくれた。そしてブラジル日系人労働者やアジア女性労働者たちと連携して活躍されているアンジェロ・イシ先生と塩沢美代子先生の報告は、活動現場の経験に基づいた生々しい報告だったので、説得力の強い感動があった。また、はっと息を呑ませるほどのフロアからの厳しい質問やコメントは、シンポジウムをさらに質の高いものにしたと思う。新米研究者の私としては、すべてがいい“学習”となり、今後の研究への刺激となった。
 ただ失礼を恐れず一つだけ言わせて頂きたい。フロアからも何人かの先生から指摘があったように、山田信行先生の「ジャパナイゼーション」に関する議論はもう古い議論ではないかと思う。今やアメリカナイゼーション、あるいはジャバナイゼーションを超えて、各国の固有の文化に合う経営が求められている時代ではなかろうか。その意味で来年のシンポジウムは「アジアの経営と文化」という視点で行われるよう提案したい。なぜなら、今危機に陥っているアジアの経済を立て直すためには、早急にアジア各国の固有の文化に合う経営が模索されなければならないと思うからである。

 

2.一般研究報告

 

・部会A

          村松 加代子
(専修大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程)

  部会Aでは、土田、尹、金子、久津美氏から四本の報告がなされた。だが、冒頭でお断りしなくてはならないのは、この部会Aの報告を、第二報告からとさせていただきたい点である。当日、都合により第一報告(土田氏)を聞いておらず、また、この「参加レポート」の執筆の依頼も全報告終了後になされたからである。
 さて、尹氏の報告は、韓国企業の経営編成原理を、従来言われてきた「家族・親族主義」ではなく、「集団主義」としてとらえ、同じアジアの中にあって、同じように「集団主義」とされる日本企業の経営編成原理と、韓国企業と日本企業への聞き取り、アンケート、各種資料に基づいて比較分析し、韓国企業の経営編成原理を「個人本位集団主義」、日本企業のそれを「会社本位集団主義」としている。そして、前者については、朝鮮時代の門中(むんじゅん。韓国における同族集団)の組織論理及び雇用形態−歴史・文化的労使関係に、その源を見いだしている。さらに、氏の報告は、《欧米対アジア》という枠組みで展開される、欧米の個人主義との比較でなされる従来の「集団主義」論の再考を兼ねており、同じアジア内での比較をとおして、その枠組みを超える新しい「集団主義」論への展開を示唆している。全体的に氏の観点が多分に貫かれた、意欲的な報告となっている。今後その視点をさらに追求するためにも、例えば、韓国企業における「個人本位集団主義」が、歴史・文化的労使関係を起源にもつ、全くの「韓国的」なものなのか、その確立時期を含めての再検討が必要ではないだろうか。氏のいっそうの研究成果を待ちたい。
 続く金子氏の報告は、建設産業に生じている問題を、主に野丁場(ビルや工場などの大型建築物の建築を専門とする工事分野)の、総合建設会社(ゼネコン)を頂点とする重層下請構造に焦点を当てて、その現状と今後のあり方について考察したものである。とくに、バブル崩壊後、ゼネコン各社は、仕事獲得のために工事代金のダンピング合戦を展開しており、そのしわ寄せが下請企業である専門工事業者への請負金額削減という形になって現れ、その経営者たちは「我慢するしかない」状況に追い込まれているという。このような状況の打開策として氏は、専門工事業者の経営者全てが結束し、ゼネコン側に適正請負価格の要求をしていくことを提言している。社会学の分野での建設産業に関わる調査・研究については、『佐久間ダム』にみられるような貴重な先行研究はあるものの、同じ第二次産業に括られる製造業に比べると数が少ないことは否めない。そのような中にあつて、また、この不況下、建設産業では倒産、失業、夜逃げ、自殺、などの暗澹たる出来事が実際に起きているだけに、現状と問題点を明らかにし、提言を掲げたことの意義は大きいであろう。今後、他の学問領域で蓄積されている先行研究にも触れながら、今一度現状と問題点を整理し、建設産業の向上に向けて、氏の提言がさらに充実することを望みたい。
 久津美氏の報告は、フィリピンにおける韓国進出企業について、現地の韓国企業96社、およびフィリピン人従業員124人への聞き取り調査に基づき、進出理由、経営状況、韓国人経営者とフィリピン人従業員の意識を探ることによって、その特徴を考察している。その結果氏は、幾つかの企業グループが形成されたことを挙げ、そのことが現地における韓国企業の成長の一要因になっているとした。また、フィリピンの工業化政策には、このような韓国企業の技術、製品、資金能力が期待されており、フィリピン人従業員にとっては、韓国企業に就職したことで生活が改善したという聞き取りの結果を示した。氏の報告には、「フィリピンにおける韓国進出企業」を調査対象とした点に新しさがあり、韓国人経営者とフィリピン人従業員への丹念な聞き取りには、氏の学問への誠実な姿勢がうかがえる。「何故フィリピンであり、何故韓国企業なのか」という当日の質問にも関わることだが、今後においても、氏自ら実際に足を踏み入れて感じ取った韓国、フィリピン両国への「思い」を抱きつつ、「フィリピンにおける韓国進出企業」−そこに存在しているアジア社会も含めて、そのことを取り上げた意味を社会科学の営みの中で再度確認しながら、本研究が進展することを期待したい。

・部会B

                          浅川 和幸(北海道大学) 

 報告の詳細に関しては、「報告要旨集」を参考にしていただくことにして、質疑の概要と全体をとおした司会(筆者)の印象を紹介したい。
 橋本会員(武蔵大学:院)の報告は、就職準備過程モデル(「加熱」−「冷却」−「再過熱」)と、そこにおいて機能する予期的な「職業アイデンティティ」モデルの提案であった。予期モデルについて、大学の専攻とモデルの関係、各モデルの存在割合、新卒高校生に適用するうえでのモデルとしての妥当性、等の質疑がなされた。
 榎本会員(早稲田大学:院)の報告は、大企業ホワイトカラー労働者の労働エートスを都市銀行員を対象とし考察したものであった。報告の中心が一般的な方法論の吟味に置かれていたため、銀行労働の具体的な状況や内容に関して報告が不十分となり、そこに質疑が集中した。
 大野会員(大阪市立大学:院)は、労務管理に対する労働者の対応の語り方や語る言葉(「強制」、「自発」、「父性」)を、特定の論者を対象に、自分の労働体験をとおした違和を語った。筆者には、違和の一般的な主張に止まらず、労働(当事)者が自分の仕事をとらえる主観的な文脈に即しながらもそれを超える職場人間関係の記述・分析の方法の開拓に進まれる方が良いように思われた。
 駒川会員(一橋大学:院)の報告は、都市銀行におけるコース別人事管理制度と女性労働者活用の実態であった。事実関係に関する質問や、総合職女性「振り替え組」と「家庭生活を重視する」総合職男性の評価、等に関して活発な質疑が行われた。
 大槻会員(上智大学:院)の報告は、ソフトウェア産業における総合職システムエンジニアにおける性別職務分離の傾向に関する事例分析であった。その結果、職務の割り当てを実質的に行ってゆく職場レベルでの決定の重要牲が主張された。管理職(課長・班長)の判断と企業の労務管理政策との関係やその評価、等について質疑がなされた。
 鈴木会員(日本労働研究機構)の報告は、鉄鋼労働運動において少数派が組合内政治にもった質的意味での影響力に関する報告であった。欧米の労働運動を分析する「組合内政治」観点をユニオン・ショップ制である日本で使用する場合の留意点や、鈴木氏の一方での少数派の存在によって組合内に緊張関係が存在したという評価と、他方での組合そのものが無力化していったという評価を統一的にどう理解したらよいか、等について質疑が行われた。
 全体を適して。今回の部会Bにおいて、報告者の多くが過去に社会人であったことと報告の焦点が研究方法におかれていたことは、無縁ではないだろう。自分の過去の労働体験を反省的に言葉化することと、研究方法の探索が結びついた形になっている。今回の諸報告はここの結びつきが独自の困難を抱えていることも明らかにしているわけだが、筆者はこれが相乗的に進むことに期待している。
 かなり筆者の主観が反映した紹介になっていると思います。ご批判、あると思います。それは、筆者にお知らせください。
 最後になりましたが、報告者の皆さん、ご苦労さまでした。質擬をなさってくれた会員の皆さん、ありがとうございました。

 

II. 工場見学報告

 

「鈴木自動車湖西工場見学」

                          多田哲久(神戸大学大学院) 

 スズキ株式会社の創業は、明治42年(1909)の鈴木式織機製作所にまで遡る。大正9年(1920)に鈴木式織機株式会社に改組、昭和29年(1954)に鈴木自動車工業株式会社に社名変更、平成2年(1990)に現社名へ変更している。現在、東海地域経済圏内に6つの本社・工場を持ち、国外26ヵ国に製造会社、145ヵ国に販売会社を擁した事業展開を図っている。
 湖西工場(静岡県湖西市白須賀4520)は浜松駅から西へ車で40分ほどの地にある。1,096,000uという広大な土地面積を持ち(同社国内では相良工場に次いで2番目の広さ)、軽・小型乗用車、ライトバンの完成車組立を業務内容としている。正規従業員数は2,760人、臨時工、外国人労働者を含めると約4,200人になる。
 見学経過は以下の通りである。湖西工場見学は11月2日午前中に行われた。見学者は、8時30分に浜松駅南側すぐにある「ホテルブケ東海」前に集合、バスと数台の自家用車に分乗した。工場到着直後、工場内の会議室に案内され、そこで約30分ほど、簡単な会社案内のビデオ上映と、工場長の説明ならびに質疑応答が行われた。内容は多岐に渡っていたが、大づかみに言えば、外国人労働者、女性労働者、生産システム、労働組合対策などについてであった。見学場所は、会議室のある建物から歩いて5分ほどの所にあり、はじめに作業現場全体が見渡せるように、建物壁面上部に設けられた通路に案内され、その後、階下へ下り、作業現場の真横の通路へと移動した。1時間ほどの見学の後、再び会議室へ戻り、解散となった。
 工場の広さや機械化に圧倒された見学であったが、感じたことを2点。ひとつは、外国人労働者とのコミュニケーションについてである。工場長の話では、日系ブラジル人が最も多く、請負制で各ゾーンをまかせる体制を採っているそうである。掲示板に連絡事項を母国語で掲示して、コミュニケーションを緊密にすることにより、仕事に対する主体性・積極性を引き出そうと努めていると話していた。これとの関わりで、印象に残ったことは、工場長のカナダでの体験談である。現地労働者にトレーニングを実施し、その成果を認めることで、彼らの生産に対する意識を高め、企業への協力を引き出したそうである。労働者の動機づけが、暗黙の了解という形ではなく、労使双方の相互作用を通して形成されてくること、つまりコミュニケーションの円滑化という点は、国際化の中でのひとつのポイントであろう。
 もうひとつは、歴史研究と現代との接点である。私は今、日本の産業化の初期段階(幕末維新期)を「家」との関連で調べているが、機械化・国際化した工場を目の当たりにして、現代との接点はどの辺にあるのかについて、改めて自問自答を繰り返していた。もとより単純な解決法などはなく、過去を知り現代を知ることに尽きるのではあるが、その現代を知る上で、工場見学は、またとない機会であった。

III. 第10回総会報告

 第10回総会は、11月2日(月)17:30より18:30まで、静岡大学浜松キャンパス「佐鳴会館」で開かれました。冒頭、鎌田代表幹事より本大会参加者が会員63名、非会員4名であることが報告されました。柴田会員の議長のもと、1998年度事業報告、『労働社会学年報』・『労働社会学研究』両編集委員長報告、会計報告がなされ、運営組織の改編と諸規則の改正・制定案、会費改定案、『労働社会学研究』発行案などがそれぞれ鎌田代表幹事、坂会計担当幹事、河西編集委員長より提起されました。議論と採決の結果、幹事の数を19名(これまで15名)とすること、2期4年任期とすること(2年の)、またそれに伴う会則と細則を改定すること、会費を一般会員10,000円とすること(院生会員は6,000円のまま)、『労働社会学研究』誌を発行すること、がそれぞれ承認されました。なお、議論の中では、学会事務局・大会事務局に関わる幹事外会員の負担が多すぎるのではないか、との問題提起がなされました。
 続いて、次期「選出幹事」の選挙がなされ、秋元樹(日本女子大学)、大野威(岡山大学)、北島滋(宇都宮大学)、京谷栄二(長野大学)、田中直樹(日本大学)、林千冬(群馬大学)、藤田栄史(名古屋市立大学)、藤井史朗(静岡大学)、山田信行(帝京大学)、吉田誠(横浜市立大学)の10名が選出されました。

IV. 会計報告

(略)

V. 会則と細則

こちらをご覧ください)

VI. 新幹事会体制

 12月5日(土)に開催された第1回幹事会において、選任幹事8名、及び監事2名と各委員会委員が選任されました(選任幹事1名については現在交渉中)。

(幹事会の任務分担)

代表幹事     田中 直樹(日本大学)
副代表幹事     北島 滋(宇都宮大学)
『年報』編集   秋元 樹(日本女子大学)
        山田 信行(帝京大学)
        渡辺 雅男(一橋大学)*
ジャーナル編集   河西 宏祐(早稲田大学)*
林 大樹(一橋大学)*
吉田 誠(横浜市立大学)
研究活動    藤田 栄史(名古屋市立大学)
京谷 栄二(長野大学)
大野 威(岡山大学)
会計     大黒 聰(東京自治問題研究所)*
大会     土田 俊幸(長野大学)*
北海道地区  鈴木 良始(北海道大学)*
九州地区   上原 慎一(鹿児島経済大学)*
経済学分野  鷲谷 徹(中央大学)*
事務局     林 千冬(群馬大学)
藤井 史朗(静岡大学)

監事 大梶 俊夫(創価大学)
中川 勝雄(立命館大学)
『年報』編集委員会
秋元 樹:委員長
山田 信行
渡辺 雅男
青木章之介(日本労働研究機構)

ジャーナル編集委員会
河西 宏祐:委員長
林 大樹
吉田 誠

研究活動委員会 藤田 栄史:委員長
河西 宏祐
京谷 栄二
大野 威
遠藤 公嗣(明治大学)
鈴木 玲(日本労働研究機構)

*(選任幹事)  

 

VII. 今年度の研究会・大会の日程予定

 新学会年度の研究会(幹事会)、大会の日程(予定)は以下のとおりです。

 

VIII.『日本労働社会学会年報』第9号、『労働社会学研究』創刊号発刊のお知らせ

 いよいよ、『日本労働社会学会年報』第9号、『労働社会学研究』創刊号が発行されます。この『通信』が届く頃には会員の皆様のところにすでに届いているかも知れません。『年報』第9号はかなり分厚です。また、『労働社会学研究』誌は、『年報』編集後記にもあるように、『年報』の2倍以上の紙幅を割ける、実証研究者にはきわめて好条件の機関誌です。多くの方の投稿を期待しております。これら『年報』、『労働社会学研究』を準備していただいた、田中・河西両編集長はじめ、編集委員の皆様、出版社の方々に感謝いたします。

 

 

IX. 会計からのお願い

  1. 1999年度会費の納入について
    新年度開始にあたり、会費の納入をお願いいたします(先の大会でお支払いいただいている会員の方はのぞく)。該当の方には、封筒に振り込み用紙を同封いたしましたのでよろしくお願いいたします。すでにご承知とは思いますが、本学会は現在大変厳しい財政状況であり、会費の滞納はただちに財政上の困難をもたらします。この点をぜひご理解下さるようお願いします。なお、先の総会において、一般会員の会費を改定させていただきました(大学院生は変更なし)。
    納入いただく1999年度会費は次のとおりです。
    1999年度会費  10、000円 (大学院生は 6、000円)
  2. 会費滞納の方へお願い
    1998年度以前の会費を滞納されている方がおられます。この際ぜひ併せて納入をお願いいたします(滞納分については、別紙「会費納入のお願い」に記載してあります)。全額が難しい場合は分割でも結構ですので、よろしくお願いします(分割については、そのむね通信欄にお書き下さい)。
  3. ジャーナル発行カンパのお願い
    従来の「会報」に替わって、「ジャーナル」を発行することとなりましたが、この費用負担も少なくありません。そこで会員の皆様にカンパをお願いしてきましたが、引き続きカンパをお願いしたいと思います(1口=5、000円、1口以上)。会費と併せてお払込み頂ければ幸いです。
  4. 払込について
    会費及びカンパの払込については、郵便局にて同封の「払込用紙」で払込下さい。なお、その際、通信欄に会費○○円、カンパ○口=○○円、とご記入下さい。
  5. 「年報」バックナンバーの購入について
    「日本労働社会学会年報」バックナンバー(3号以降)の在庫があります。この販売は学会収入となりますので、ぜひご協力をお願いします。お申し込みは下記会計幹事まで(直接書店に申し込みますと学会収入にはなりませんので、よろしく)。 

 以上よろしくお願いいたします。なお、ご不明な点がありましたら、次にお問い合わせ下さい。

           会計幹事   大 黒  聰

 

 

X. 『年報』編集委員会よりのお願い

こちらをご覧ください)

 

XI. 幹事会報告

(第6回幹事会報告)
 1998年11月1日(日)15:00より17:00まで、静岡大学情報学部2号館831室において、第6回幹事会が開かれました。出席者は下記のとおり。
(出席者)鎌田哲宏、秋元樹、岩本純、河西宏祐、鎌田とし子、坂幸夫、田中直樹、吉田誠、鷲谷徹、藤井史朗、笹原恵

議題及び報告事項は以下のとおりです。

  1. 第10回大会・総会について
    1. 大会準備状況
      ・大会準備状況について報告され、残された作業を行った。
    2. 総会準備状況
      ・鎌田代表幹事より、総会準備状況の概要について報告された。
      ・坂会計担当幹事より会費改正案について提案され、一般会員8,000円を10,000円に、院生会員は6,000円のまま据え置くことが承認された。
      ・河西編集委員長より、「労働社会学研究」誌(ジャーナル)発行の予算について提起され、討議の結果、会員に無料配布する方向が確認された。また、予算の逼迫状況に鑑み、販売方法をさらに工夫する旨の意見が出された。
      ・鎌田代表幹事より、「会則」及び「細則」の改正案が提出され、承認された。
  2. その他

 

(第1回幹事会報告)
1998年12月5日(土)14:00より17:00まで、早稲田大学人間科学部・ 高田牧舎3階会議室において、学会新年度の第1回幹事会が開催されました。
出席者(敬称略)は、田中直樹、秋元樹、大黒聡、河西宏祐、北島滋、京谷栄二、土田俊幸、林千冬、藤井史朗、藤田栄史、山田信行、吉田誠、渡辺雅男(以上13名)。
*報告・審議事項は以下のとおり

<報告事項>

  1. 『年報』編集委員会より
    ・田中代表幹事より、12月刊行予定である旨報告された。質疑の中で、「年報」販売促進のため公費で購入する場合、どのような手続きをとればよいのかが問題とされ、出版社に直接申し込むのでは学会収入にならないため、大学から直接学会に請求手続きを取る必要がある(国立大などの場合は「見積書、納品書、請求書」の3点セットが必要)ことが確認された。
  2. 『労働社会学研究』(通称・ジャーナル)編集委員会より
    ・河西編集委員長より、12月に初校予定でまもなく発刊見込みであること、また現在「ジャーナル」へのカンパが約35万円集まり、第1号発行のための目標30万円は達成されたが、第2号分を考慮すると60万円は必要であり、今後も引き続きカンパ協力を要請したいとの報告がなされた。
  3. 研究活動委員会より
    ・京谷研究活動担当幹事より、10回大会終了後、今後の研究会・シンポ・大会テーマについて多くの意見が寄せられた旨報告があった。これに関しては、以下議題(4)で議論された。
  4. 会計より
    ・大黒会計担当幹事より、10回大会収支および新年度予算(98/12/1現在)について報告された。大会収支は28033円の剰余金があり、本年度予算に繰り入れられた。
  5. 事務局より
    ・藤井事務局担当幹事より、本「通信」内容案(新幹事名紹介、大会報告等)についての説明と、大会不参加の会員には、会員名簿、会費請求書、会計報告を同封する旨報告された。
    ・林事務局担当幹事より、以後の幹事会連絡は主にe-mailで行う旨提案→確認された。

<審議事項>

  1. 選任幹事の件
    ・田中代表幹事より、研究活動委員として推薦・依頼していた会員より、次年度の留学のため今回は辞退したいと申し出があったこと、これを受けて別の候補者が複数名出され、これに沿って現在交渉中(次号で報告)である旨報告された。
    ・京谷研究活動担当幹事より、研究活動委員に、幹事以外の委員として合場・遠藤・鈴木各会員の協力を得ることになった旨報告された。
  2. 監事選出の件
    ・今期会計監査候補者を2名に絞り、現在交渉中(次号で報告)である旨報告された(その後、大梶、中川勝雄会員に決定)。
  3. 1999年度幹事会・研究会の日程の件
    ・第2回幹事会および第1回研究会 99年 2月27日(土)
     幹事会10〜12時 早稲田大学高田牧舎(早大正門前)2階
                 人間総合研究センター別室 tel 03-3203-0363
     研究会14〜18時 ★テーマ「戦後労働調査を語る」・証言;佐藤守弘先生★
                  早稲田大学22号館・502会議室(地図別紙)
                 (早稲田大学・西早稲田大学キャンパス隣、北門脇)
       ・以下は日程のみ決定され、研究会については研究活動委員が後日検討することとした。
       (研究会は概ね当該日午後になると思いますので、早めの日程予定をお願いします)
    • 第3回幹事会および第2回研究会 99年5月8日(土)
    • 第4回幹事会および第3回研究会 99年7月10日(土)
    • 第5回幹事会および第4回研究会 99年10月2日(土)
  4. 第11回大会開催の件---★99年10月30・31日に開催予定★---
    1. 日程について
    • 幹事会にて、99年度日本社会学会大会の開催日の確認を急ぐ旨報告された(後日、田中代表幹事および藤田幹事(次回大会開催校)より、来年度の日本社会学会大会が10月10,11日に決定したため、本学会大会を10月30日(土)、31日(日)に開催する予定である旨報告された)。
    1. 次回以降のシンポジウムテーマについて
    • 京谷研究活動担当幹事より、次期大会のテーマについて、以下のような意見があった旨報告された。
      • 「女性・ジェンダーに関して、女性の賃金差別問題以外にはあまり深く検討されていないので取り上げてはどうか。ただし同じテーマはかつても取り上げたので新しい視点が重要であると思う」。
      • 「自由報告が多いのでこれを重視し、シンポは隔年でもよいのでは」。
      • 「日本的生産システムの議論を総括してはどうか」。
      • 「実証重視がこの学会の良さなのでこれを重視してほしい」。
      • 「労働、地域、世界をキーワードに、地域という視点を入れて、2、3年のプロジェクトをくんで取り組んではどうか。」
    1. 次回以降のシンポジウムも含めた大会企画について
      *最初に、京谷研究活動担当幹事から、今後の大会のシンポジウムについて、次のような問題点および提案がなされた。
    • 現在、毎年の大会スケジュールに沿ってシンポを企画するのは、日程的にかなり無理がある。実質2月頃にテーマを決め、報告者選定が4月以降、報告者が決定するのが夏休み前というぎりぎりのスケジュールである。
    • 研究活動委員の任期は2年であり、同じメンバーで2年分の企画を考えるのは自転車操業状態である。内容充実のためには、2年くらい前からプロジェクトチームを組み、報告者の選定も含めじっくり内容を詰める方式のほうがよいのではないか。
    • 一例として、日本社会学会はプロジェクトチーム方式である。

      *以上を受けて、以下のような意見交換がなされた。
      <シンポジウム開催について>
      ・シンポジウムを毎年行うか、隔年にするかをめぐり議論が交わされた。
      <「講演」の導入などについて>
      ・仮にシンポジウムを隔年にする場合、「テーマを決めた自由報告」、講演会方式、新著の報告、などの案が出された。
      <自由報告の形式および大会日程について>
      ・自由報告を全会員が聞けるように、一会場で行うよう工夫すべきとの意見が出された。
      <次回大会の工場見学について>
      ・藤田研究活動委員長(次回大会開催校)より工場見学での希望が募られた。トヨタ自動車ではフロアまで行けるセッティングが難しいとの説明あり。
      ・各幹事から、工作機械、「池貝」などの提案が出された。また、工場見学は、物を作っているところが一番おもしろいとの意見もあった。
  5. 『労働社会学研究』(通称・ジャーナル)について
    1. 発刊回数について
      ・発行回数に関し、予算、査読時間などをめぐり、隔年発行の可能性について論議され、両方向からの意見が出された。
    2. 予算・経費について
      ・予算の削減について、原稿提出形式の改良、売り上げ向上努力、執筆者買い取りの増加、などの意見が出された。
  6. 定例研究会について
    ・定例研究会の持ち方について、報告者数、大学院生への依頼の必要などについて議論された。
    ・京谷研究活動幹事より、定例研究会で取り上げて欲しい人・テーマについて意見を募りたいとの依頼があった。銀行労働・労働者、リストラの話などの希望が出された。
  7. 年報編集委員会より
    ・秋元年報編集委員長より原稿募集要項の広報依頼があった。

 

 

XII. 会員の移動

 先の大会において、「日本労働社会学会会員名簿」を配布いたしましたが、大会に参加しておられない会員には、今回同封いたしました。なお、手違いで名簿を受け取っておられない会員の方、また、記載間違いや変更・追加などがありましたら、事務局までご連絡ください。落丁・乱丁の場合もお取り替えします。
(名簿修正)

(住所変更)

(所属変更)

※これ以外に、入会希望者が3名おります。次回幹事会で承認される予定です。

 

 

第1回定例研究会のお知らせ

「シリーズ 戦後労働調査を語る」
報告者:佐藤 守弘氏(常盤大学)
コメンテーター:河西 宏祐会員
日 時:2月27日(土)14:00〜18:00
会 場:早稲田大学西早稲田キャンパス隣、北門前
     22号館502会議室

※定例により、研究会の前に第2回幹事会を開きます。幹事の方は下記の通りお集まり下さい。

  日時:2月27日(土)11:00〜13:40

会場:早稲田大学高田牧舎(早大南門前)
(研究会会場と違う場所ですのでご注意ください)