日本労働社会学会『通信』

vol.X, no.5(1999年10月)

日本労働社会学会事務局

群馬大学医学部
       保健学科地域看護・看護管理学講座(林千冬)

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(郵便振り込み口座番号)00150-1-85076

 暑かった夏もようやく終わり、かなり涼しいこの頃ですがいかがお過ごしでしょうか。
 さて、去る10月2日には、第4回定例研究会が開催されました。この模様をお伝えいたします。なお、いよいよ10月30日、31日に、第11回大会が名古屋市立大学にて開催されます。大会プログラムを同封いたしました。当番校の藤田会員にはまことにお世話になっております。どうか、多くのみなさまの参加をお願いいたします。

I. 第11回大会・工場見学日程(大会プログラムは別紙)

II. 第4回定例研究会報告

 報告:森ます美「賃金制度の転換とペイ・エクイティ(同一価値労働同一賃金)」
逆井征子「リストラのなかの商社女性の現状」

 10月2日の研究会では,森ます美,逆井征子両氏によって上記テーマが報告された。報告は,森氏によるペイ・エクイティ研究会『WOMEN AND MEN PAY EQUITY 1997 商社における職務の分析とペイ・エクイティ』(1996年 東京女性財団助成研究)がおこなった職務分析と職務評価試みの紹介と,逆井氏による商社における大規模なリストラの内実について職種別・部門別に明らかにされた。
 森氏の報告は, (1)ペイ・エクイティ,コンパラブルワースが北米で男女間賃金格差を是正する運動・政策として展開してきた経緯,(2)ペイ・エクイティ研究会が国内商社を対象としてペイ・エクイティにもとづく職務分析・職務評価の紹介がおこなわれた。同研究会の研究目的は,総合職(男性)と一般職(女性)の仕事の価値をジェンダーバイアスを排して再構成し,これを現行賃金格差(100 : 60)と比較し,問題点を明示することにある。職務分析によって,職務内容を明確化し,職種・職務アイテムの確定をし,商社職務に相応しい職務評価ファクターを開発し,職務評価をお こなった。職務評価の結果,営業職でみると,男女の仕事の価値は,総合職男性 : 一般職女性=100 : 88(賃金格差は100 : 70)であることが明らかとなった。
 逆井氏からは,兼松において進行中の3年間で従業員規模を半減させるリストラ策の実態が報告された。兼松がおかれている経営状況やリストラの内容および従業員の様子を含めた詳しい報告の後,今年5月に発表されたリストラ計画のはじめとして,存続・廃止部門に関わらず7月に500名の希望退職募集が労組に提案された経緯が紹介された。結果として,525名が希望退職に応じたが,退職要望に応じない従業員に対して,面接が繰り返されたり,希望退職に応じた事務職に対しても,在職期間中に派遣社員として再契約するよう要求される等の実態が明らかとなった。
 報告に次ぐ質疑の中で,国内におけるペイ・エクイティ実践が,男女間賃金格差是正に貢献する可能性について,アファーマティブ・アクションとの関係,職務評価の客観性保証の方法,近年の日本型職務給導入の試みとの関係が議論され,また,商社におけるコース別人事再編の動向などが検討された。ペイ・エクイティの理論を国内に紹介され,貴重な実践活動をおこなわれている中心メンバーの両氏からの詳細な報告は,大変有意義なものとなった。

(山下充:早稲田大学)

 

III. 第5回幹事会報告

 1999年10月2日(土)11:00より12:30まで、早稲田大学人間科学部・高田牧舎2階、人間総合研究センター別室において、第5回幹事会が開催されました。
 出席者(敬称略)は、田中直樹、京谷栄二、青木章之介、大黒聰、河西宏祐、北島滋、藤田栄史、土田俊幸、山田信行、吉田誠、鷲谷徹、渡辺雅男、藤井史朗、林千冬 (以上14名)。
 報告・審議事項は以下のとおりです。

(報告事項)

  1. 第11回大会・総会について
     藤田栄史幹事より報告。大会の準備(参加者数、参加者名簿、プログラム、司会者、会場整備関係等々)は順調に進行・調整中。現在までに参加者申込み42名。当日参加者も含めて60名前後が予想される。
     同じく工場見学会は、参加予定者32名。なお、今回の工場見学は11/1午後1時までに終了予定のため、午後にオプションとしてもうひとつ、八丁味噌工場の見学を計画中であり、詳細は大会当日に案内がなされる旨報告された。
     なお、本大会開催にあたっては、藤田幹事の尽力により、名古屋の「大幸財団・学会開催助成」(6万3千円)を受けたことも合わせて報告された。
     総会準備状況については、総会次第(案)と資料に沿って確認がなされた。事務局より、今年度9月末現在、入会21名、退会者1名である旨報告された。
  2. 『労働社会学年報』、『労働社会学研究(通称・ジャーナル)』編集委員会報告
     河西編集委員長より報告がなされた。第2号の投稿申込みは論文6本、研究ノート2本であった。今後、『年報』と区別するために、論文・研究ノートともに「実態調査にもとづく実証研究」に絞り、投稿資格は会員に限定。原稿が掲載された会員は3万円の現物購入を原則とすること等が確認された。また、カンパの再要請がなされた(別紙)。
     なお、『年報』の編集については現在初校を終了し、大会当日に間に合うように鋭意努力中で、現在のところ大会当日には刊行できる予定である。
  3.  会計報告
     大黒会計担当幹事より、9月27日現在の会計状況について報告がなされた。現在まで'会費収入や年報等の販売収入は当初予算を上回っているが、会費については、特に新入会員で納入率が低い旨報告された。
     来る総会で示す年度会計報告(案)の確認において、年報およびジャーナルに関する特別会計については、年報基金が30万円、ジャーナルカンパが34名分・84口42万円手つかずのままあるが、単年度の予算で見ると、年報、ジャーナル発行が会計を圧迫し、繰り越し金の収支バランスにおいて約40〜50万円の収入不足があり、これまでは繰越金で補填してきたが、実質赤字になっている旨報告された。事務費の節約やアルバイト代の未支出など、会計上の節約努力は十分なされていることから、今後、会費未納会員に対する督促の徹底など、会費全納に向けて特別の対策を検討することが確認された。
    <<会計からのお願い>>---------------------------------------
    *来たる大会の会場受付において、2000年度会費の徴収を行います。
    2000年度会費は、会員1万円(院生6000円)となっております。
    学会にご参加のみなさまには、この機会に納入頂けますようお願い致します。
    *なお、会費や年報代金等、会計へのお振り込みの際には、振り込みの「内容」
    (何のお金なのか)と「取り扱い者氏名」を忘れずに明記して下さい。
    ----------------------------------------------------------
    (事務局より)
     *振り込み用紙が手元にない方は、この『通信』のフェイスにある(郵便振り込み口座番号)00150-1-85076を郵便局の振り込み用紙に記入してお振り込みください。
  4. 次回第12回大会・総会開催地・開催校
     京谷幹事より報告。次回第12回大会・総会開催地・開催校は長野大学に決定。日程は、2000年11月3〜5日以外(学園祭のため)で、社会学会、社会政策学会と重複しない土日で検討する。シンポジウムのテーマは、次回幹事会までに研究活動委員会で検討される。
  5. 代表幹事より
     田中代表幹事より、第18期日本学術会議登録申請について、5月19日に手続きした結果、9月14日付けで登録完了した旨報告された。今後は3年おきに1回の再申請が必要になる。

〈審議事項〉

  1. 会員の異動・新入会員について
    新入会申請者が6名報告され、承認された。
  2. 日本労働社会学会会則の改正の件
     代表幹事より、会則の改正について検討される予定であった件については、次回以降の継続審議とする旨報告があった。
  3. 研究会の活性化について
    年次大会、定例研究会ともに、地方会員の参加を促すことが確認された。
  4. その他
     北島幹事より、『年報』の注文は直接北島幹事にE-メール等で連絡してほしい旨依頼があった。
     また、『通信』へのPRチラシ等の同封については、会員執筆の書籍のPRについてはA4サイズ2枚以内で、1回20000円の郵送・作業代を徴収する旨提案・確認された。各種研究会の案内等については、『通信』内にコラム欄を設けることなどを継続して検討することになった。

IV. 会員の移動(新入会)

 

次回・第5回定例研究会は、12月11日(土)に開催します。

時間:14:00〜17:30
会場:早稲田大学高田牧舎2階人間総合研究センター別室
(併せて、第7回幹事会を11:00〜より開催しますので、幹事の皆様はご参集ください)

(幹事のみなさまへ)
 次回第6回幹事会は大会にあわせ10月30日(土)午前11時から名古屋市立大学人文社会学部社会調査実習室(304、3階)で行います。よろしくご参集ください。