日本労働社会学会『通信』
vol.IX, no. 5(1998年10月)
日本労働社会学会事務局
静岡大学情報学部社会学研究室(藤井史朗)
(学会ホームページ)http://163.212.160.112/jals/ |
さわやかな秋を迎えましたが、いかがお過ごしでしょうか。さてまもなく、第10 回大会を迎えます。『通信』が遅れて大変ご迷惑をおかけしましたが、大会パンフレットを同封して『通信』第5号をお送りします。すでに多くの方々から大会参加のご連絡をいただいております。ありがとうございました。さらに自由な参加をお待ちしております。またいくつかの重要議題もありますので、総会にも皆様の参加をお願いいたします。
I. 第4回研究会―プレシンポジウム―報告
長野大学 京谷栄二
10月3日、市ヶ谷の日大会館で本年度大会のシンポジウム準備のための研究会が開催された。シンポジストの三名のほか約20名の会員が参加し、予定時間を大幅にこえて議論がつづいた。
まず、山田信行会員が「『ポスト新国際分業』とジャパナイゼーション」と題して、1980年代後半に従来の新国際分業が転換し、ジャパナイゼーションがその契機として機能したという考察を中核、半周辺、周辺地域の事例をまじえて報告したいと構想を述べられた。日系ブラジル人ジャーナリストのアンジェロ・イシ氏は「日本で仕事をする意味:在日ブラジルのデカセギ」というタイトルで、日系ブラジル人の日本での労働と生活の実態、そしてその「デカセギ」現象がブラジル社会に与えている影響を分析する構想を披瀝された。塩沢美代子氏は、1960年代からアジアの女子労働者のオルグ活動に従事された自らの経歴を語られ、女子深夜業にかんする制限の撤廃などの現在の日本の労働法の規制緩和が、アジアの労働組合活動家に深刻な反響を巻き起こしていることを語られた。テリエ・グローニング会員はまだ来日していないので、テリエ氏の報告草稿にもとづき、京谷がその骨子を紹介した。
各報告者にたいして参加者から、補充すべき点、より明確にすべき点など活発に意見が出された。11月3日の大会本番のシンポジウムをますます期待しうるものに高めてくれた研究会であった。
II. 第10回大会について
静岡県浜松市静岡大学浜松キャンパスで開催される第10回大会には、すでに60名弱の会員から参加予定のFAXが寄せられており、活発な討論が予想されます。また、工場見学も40名の参加予定です。
大会プログラム、地図などを同封いたしました。ホテル予約など、一部変更もありますので、ご注意ください。
- 第10回大会・工場見学日程
11月1日(日)
15時 幹事会および大会準備
11月2日(月)
8時30分 工場見学、「ホテルブケ東海」前出発(貸し切りバス)
9時15分 鈴木自動車湖西工場着−工場見学−
11時15分 湖西工場出発
12時 静岡大学浜松キャンパス佐鳴会館着
昼食(静大生協利用可)
13時30分 一般研究報告開始(静岡大学浜松キャンバス「佐鳴会館」)
17時30分 総会
18時30分 懇親会(「佐鳴会館」内)
11月3日(火−文化の日)
9時30分 シンポジウム報告開始
12時30分 昼食・休憩
13時30分 シンポジウム再開−討論
16時30分 終了
- 宿泊施設について
当方の都合により、「ホテルブケ東海」に加えて、「ホテルサウスガーデン」も準 備いたしました。宿泊費は、どちらも一泊6,400円(税込み)です。両ホテルとも浜 松駅南口に近接しておりますのでご安心ください。11月1日(日)と11月2日( 月)の2連泊予約の方及び工場見学参加者で11月1日(日)のみ宿泊予約の方は「 ブケ東海」、11月2日(月)のみ宿泊予約の方は「サウスガーデン」に予約してお ります。予約いただいた会員の方には個別に宿泊先のパンフレットを同封いたしまし たのでおまちがいのないようご確認ください。
- ホテルブケ東海
浜松市砂山町353-7、TEL:053-456-8111
- ホテルサウスガーデン
浜松市砂山町325-30、TEL:053-451-1800
- 工場見学について
11月2日(月)8:30、「ホテルブケ東海」前より貸し切りバスで現地に向かいま す。
見学する工場は「スズキ自動車湖西工場」です。参加予定者全員が貸し切りバスに 乗れないため、幹事会の方で自家用車3台を準備し、併走して向かいます。
- 一般研究報告(11月2日、13:30〜17:30)
会場の関係から、報告者4名と6名との2部会に分けました。ご了承ください。
(部会A)
司会 浅生卯一(弘前大学) 於 佐鳴会館集会室
- 土田俊幸(長野大学)
「イギリス産業社会学におけるジャパナイゼーションをめぐって」
- ユン シュクション(大阪経済法科大学アジア研究所客員研究員)
「韓国における経営編成原理と文化:日本における『集団主義論』の比較をか ねて」
- 久津美 香奈子(大阪外国語大学大学院)
「フィリピンにおける韓国系進出企業の特徴
−韓国人経営者とフィリピン人従業員への聞き取り調査にもとづいて−」
- 金子満活(関東学院大学大学院)
「建設産業の下請問題:野丁場の現状と課題」
(部会B−会議室)
司会 浅川和幸(北海道大学) 於 佐鳴会館会議室
- 橋本哲史(武蔵大学大学院)
「就職過程における個人の職業的アイデンティティの形成と『職業希望モデル 』の機能」
- 榎本環(早稲田大学大学院)
「現代日本の大企業ホワイトカラーの労働エートス
―都市銀行員へのアンケート結果から―」
- 大野正和(大阪市立大学大学院)
「仕事と人間関係の心理−部下の上司への依存と退行−」
- 駒川智子(一橋大学大学院)
「『女性活用』とコース別人事管理制度−都市銀行の事例から−」
- 大槻奈己(上智大学大学院)
「性別職務分離の形成−総合職システムエンジニアの事例から−」
- 鈴木玲(ウィスコンシン大学大学院)
「1960・70年代の鉄鋼労働運動における少数派
−少数派の存在は組合政治にどのような意味を持つのか−」
☆当日資料を用いる場合は、各自でご用意ください(35部程度)。
- シンポジウム(11月3日、9:30〜16:30)
「国境を越える労働社会」
司会 京谷栄二(長野大学)・吉田誠(横浜市立大学)
- 山田信行(帝京大学)
「『ポスト新国際分業』とジャパナイゼーション
−国際分業の転換と労使関係のグローバルな編成−」
- アンジェロ・イシ(武蔵大学)
「日本で仕事をする意味−在日ブラジル人のデカセギ−」
- 塩沢美代子氏(アジア女性労働者交流センター)
「日本の企業経営の変化や労働法の規制緩和がアジアの労働者に及ぼす影響」
- テリエ・グローニング会員(オスロ大学)
「組織変容と日本型組織の伝播:方法論的分析」
総括討論
コメント 秋本樹会員(日本女子大学)
- 1999年度会費の徴収法
毎年、大会開催時に、次年度会費を徴収しておりますが、11月2日の総会で会費 改定が提案される予定ですので、11月3日の朝に徴収いたします。11月2日のみ で帰られる会員は、総会後、幹事会にお支払いください。よろしくご協力のほどお願 いいたします。
III. 名簿作成のためのアンケートについて
先に実施した名簿作成のためのアンケートにつきましては、57名の会員からFax、メールなどによる回答をいただきました。ありがとうございました。大会までに、学会の簡易名簿を作成し、お届けする予定です。
IV. 次期選出幹事「立候補者」(自薦・他薦)の届け出について
先の『通信』次期選出幹事「立候補者」(自薦・他薦)の届け出をお願いしておりましたが、9月30日までに、4名の「立候補者」(自薦・他薦)の届け出がありました。次の議事録にありますように、幹事会では、総会までに、10名の「立候補者」を準備すべく努めております。
V. 日本労働社会学会第5回幹事会議事録
(出席者)
鎌田哲宏、岩本純、鎌田とし子、京谷栄二、坂幸夫、田中直樹、吉田誠、鷲谷徹、藤井史朗
- 1998年10月3日(土)11:00より14:00まで、日本大学会館において、第5回幹事会が開かれた。出席者は上記のとおり。
- 議題及び報告事項は以下のとおりである。
(議題)
- 第10回大会・総会について
1) 大会準備状況
- 鎌田代表幹事より、大会事務局メモに即して大会・総会の準備状況について報告された。参加者が58名見込まれること、大会参加費をもって学生アルバイトを雇うこと、工場見学にはマイクロバスを出せるが、運転手さんに何らかのお礼をすること、などが確認された。また、参加者が多く、ホテル「ブケ東海」だけでは不十分なため、工場見学者など2連泊の会員に「ブケ東海」を紹介し、それ以外の1泊のみの会員には近くのホテル「サウスガーデン」を紹介する旨報告された。2日目のシンポジウムを9:30開始にすることとした。
- 京谷幹事より、大会報告スケジュールについて、自由報告11本のうち1本を報告者の都合により削除すること、また2部会への報告配分を4対6にすると時間的に少しきついこと、報告要旨については10名全員からきている旨報告された。討議の上、大会会場の都合、懇親会準備などから、4対6で実施することが確認された。また、シンポジウムのディスカッション時間確保のため、当初予定の16:00終了を少し遅らせる方向を検討することとした。シンポジウムのコメンテーター依頼について議論した。
2) 総会準備状況
- 鎌田代表幹事より、総会での議題とその準備状況について報告された。
- 田中幹事より『年報』第9号の準備状況について、一部予定原稿の掲載準備遅れなどから大会には間に合わない旨報告された。総会では目次を提示することが確認された。
- 吉田幹事より『労働社会学研究』の準備状況について、4本中3本(論文1本、研究ノート2本)を掲載すること、また発行時期が遅れ気味であることが報告された。
- 坂幹事より、9月29日現在の収支状況について報告され、会費滞納督促により収入がよくなった旨指摘された。また、『労働社会学研究』発刊に当たってのカンパ要請に対し、53口、265,000円のカンパがあったことが報告された。
- 年間の研究会報告の扱いについて議論し、『年報』などに載せる方向が示唆された。
- 坂幹事より、1999年度予算に関して総会で提案を予定している会費値上げ案(8,000円→10,000円)の了承を前提とした予算案を準備すること、院生の6,000円については据え置きでよいか、また会費の集め方などについて提案があった。討議の上、来年度会費については、大会での了承後、2日目(11/3)の朝に集めること、院生については6,000円で据え置くことなどを確認した。
- 鎌田代表幹事より「会則」第9条に「連続2期4年を超えられない」の文言を入れること、運営細則第4条に『労働社会学研究』編集委員会の規定をおくことなどを提案するとの報告があった。
- 鎌田代表幹事より、次期役員(選出幹事)の選出について、現在までに4名の「立候補」(自薦・他薦)があること、幹事会として残りの6名の「立候補」者を確認したいとの提起があった。議論の後、本人の了承を代表幹事を中心に確認し、何名かの入れ替えも想定しつつ、大会までに10名の選出幹事立候補者をそろえることを確認した。
- 次回第11回大会・総会の候補地について、名古屋地区を軸に検討することとした。
3) その他
- 京谷幹事より『年報』の査読の時に、論文水準のみならず文章上、表ナンバーの明らかな誤りなどにまで手を入れるかどうか、また、英文要旨のネイティブスピーカーによるチェックの必要などの問題提起があった。議論の上、査読の主眼はレベル審査だが、簡単なチェックは気づいたときに適宜行うこと、また、英文要旨の水準保持などは自己責任として、各自がチェックしてもらうことを義務づけるなど確認した。
VI. 会員の移動について
1) 新入会員
略
※そのほかに、入会希望者が1名おります。11月1日の幹事会で承認される予定です。
第6回幹事会のお知らせ
日時:11月1日(日)15:00〜
場所:静岡大学浜松キャンバス情報学部2号館8F831室
※会場が変更しておりますのでご注意ください。情報学部2号館の場所は同封の学内地図をご覧ください。
なお、当日は休日のため、情報学部2号館の入り口が自動ロックされます。開始時間の遵守をお願いいたします。万一遅れる場合は、労働社会学会事務局(053-478-1522)にお電話ください。また遅れた場合、大学入り口左の守衛室より電話いただければ、情報学部2号館の入り口で待っております。 |