日本労働社会学会『通信』

vol.IX, no.2(1998年3月)

日本労働社会学会事務局

静岡大学情報学部社会学研究室(藤井史朗)

 会員の皆様には、お忙しい年度末を過ごされたことと思いますが、またあわただしく新年度が始まろうとしております。先の見えない景気低迷が続き、社会はリストラばやりですが、本学会も若い会員中心に会員数が漸増する中、学会運営をよりスムーズにすべく模索しており、e-mail活用についてのアンケートをこの間実施いたしました。そこでは貴重なご意見をいただきました。また、2月21日(土)には、第1回定例研究会と第2回幹事会がもたれました。これらの模様を中心に『通信』第2号をお届けいたします。

 

I.第1回研究会について

 2月21日(土)の研究会では、「第9回大会シンポジウムでの残された課題と今後の方向」と題して、秋元樹会員にご報告いただきました。

 秋元氏は、まず大会当日のシンポジウムでの論点を次のように整理しました。それらは、労働組合とソーシャルワークの別、管理職・女性ユニオンが新しいユニオンの選択肢たり得るか、女性労働強調の方向性、個別的労使関係問題の集団的労使関係への翻訳の問題などの諸点です。次に秋元氏は、アメリカの労働現場の事情を紹介し、同様に70年代から90年代にかけて労働条件の低下と組織率の低下が進んできたことを指摘しました。その上で、シンポジウム当日の自身の発言趣旨から、とりわけ連合の路線に対して、「多くのことが世界で統一的に起こっているが、それに対して組合がどうすればよいのか。日本での空洞化問題についても、何故自分たちが働いて作った富が海外に投資され、それで自分が首を切られるのか。国の外と内であまりに違う現実、このような点にコメントが欲しかった」と述べました。さらに、これまでのような福祉先進国の紹介や、国際会議、南北問題、国際共同調査などとしての「国際化」視点ではなく、日本の経営がどのように外国の労働者に影響を及ぼすのか、といったような形での国境を絡めた議論が必要であることを再度強調しました。

 報告を受けての質疑では、まず、アメリカ労働運動の特殊性・独自性やアメリカによる覇権の問題が論じられ、次に女性ユニオンの労働組合としての性格と意義をめぐって議論されました。さらに、ゼンセン同盟のサービス産業労働者組織化の動向や労働力の女性化の傾向などが新たな傾向として示されました。次回シンポジウムテーマをめぐる方向性については、国境を越えるというキーワードにおいて、今までの研究の二番煎じでない大きな議論をなす必要があるという点が確認されました。

なお、事務局の対応の遅れから、シンポジウムでの議論についての原稿を事前にすべて渡すことができず、報告者の秋元会員にご迷惑をおかけしました。お詫びいたします。(文責 事務局)

II.次回の研究会について

 次の第2回研究会は、5月9日(土)14:00より、日本大学本部会館(市ヶ谷)にて、八木正大阪市立大学教授による「シリーズ・戦後労働調査を語る」を予定しております。多くの方々の参加を心よりお待ちしております。

III.労働社会学会配布物のe-mail化についてのアンケート集約と今後の方向

前『通信』郵送時に実施した「日本労働社会学会事務局配布物郵送方法についてのアンケート」は、49通(会員数206名、回収率23.8%)の回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。結果は以下の通りです。

(1)日本労働社会学会事務局より会員への配布物郵送方法について、全体としては、次のどれが望ましいですか。一つだけ○をつけてください。

  1. 今までどおり、封書による郵送で統一するのが良い。   2(4.1%)
  2. 会員の希望によって、e-mailでの連絡と、封書による郵送とを併用するのがよい。  35(71.4%)
  3. できるだけe-mailによる連絡に、切り替えていくのが良い。     11(22.4%)
  4. その他(                  )。  1(2.0%)

(2)同じく、あなたご自身は、次のどの郵送方法が望ましいですか。一つだけ○をつけてください。

  1. 封書による郵送が良い(e-mailがない場合も含む)。 11(22.4%)
  2. 封書による郵送が望ましいが、事情によってはe-mailによる郵送でもやむを得ない。 18(36.7%)
  3. e-mailによる郵送が良い。 20(40.8%)
  4. その他(                     )。 0(0.0%)
  5. 無回答                 1(2.0%)

(3)現在、学会のホームページを立ち上げていますが、その内容充実のために会員研究者主要業績リストのようなものを将来的には作りたいと考えております。もしそうなった場合に、あなたはこのリストに掲載されることを希望しますか。

  1. 希望する  40(81.6%)
  2. 希望しない   7(14.2%)
  3. どちらともいえない 1(2.0%)
  4. 無回答         1(2.0%)

 

(4)このリスト上にご自身のe-mailアドレスを公開することを望みますか。

  1. 望む   28(57.1%)
  2. 望まない 11(22.4%)
  3. その他   3(6.1%)
  4. 非該当    4(8.2%)
  5. 無回答    3(6.1)

(意見など―一部事務局編集)

(今後の方向について―幹事会としての見解)

 今回のアンケートは、回収率が23.8%とやや少ないが、回答者は少なくとも自分についてはe-mail化・ネットワーク化に前向きの回答が多い。しかし、回答率の少なさや、回答者でもなお半数以上が、「文書による連絡との併用」を選択していることからすれば、(1)全体としては、今までどおり文書連絡を中心とすること、(2)同時にe-mailによる連絡をサービスとして実施すること(少なくとも現事務局体制の下では)、(3)その上で特に「『通信』等の連絡に関してはe-mail一本でよい」との意思表示をした会員に対しては、通常連絡の全面e-mail化を進めることにしたい。

 

IV.e-mail、ホームページによる『通信』郵送サービスの開始

 上記のアンケート結果を受けて、現段階でe-mailアドレスを事務局に通知している会員に対しては、『通信』他の配布物を、文書郵送と併せてe-mailでも送ります。また、前にお知らせした通り、学会ホームページ(http://163.212.160.112/jals/)でも公開しておりますので、ご参照ください。
 これらを活用してみて、『通信』については、e-mailのみでよい、と判断された会員がおられましたら、随時、事務局までその旨をお知らせください(e-mail可)。
事務局体制が整いしだい、その会員への『通信』郵送は、e-mailのみにさせていただきます。

 

V.学会役員の任期制導入についてのアンケートのお願い

 さて、昨年10月の総会では、学会運営体制や規程についてのいくつかの改正を承諾していただきました。そこで残された問題(役員任期の連続2期4年以内とする提案)について、全会員の意向をアンケートによって図ることが確認されております。
 この問題は、昨年5月の第3回幹事会より論議されており、推進意見としては、特定の人が連続することの疲れ、いろいろな人が幹事を経験することのメリット、懸念される運営の連続性については他の委員会(編集委員会・研究活動委員会など)への非幹事の参与や2年空けての再継続などの中で確保できること、が理由として挙げられています。他方、慎重意見としては、学会運営を実質的に担う幹事の継続が保証されないことが指摘されています。
 このような点について会員の皆様の率直な意見をお聞きしたく、アンケートを同封いたしました。お忙しいことと存じますが、よろしくご協力ください。

VI.会計報告と年報在庫分購入のお願い

 1998年2月11日現在の収支状況

                           1998年2月4日
報告:坂 幸夫

(収入の部)

1998年度予算

1998年2月11日実績

繰越金

457,367

457,367

会費収入(98年度)

900,000

634,000

同上(滞納分)

250,000

110,000

同上(99年分)

8,000

年報販売収入

50,000

10,350

雑収入

169,500

1,657,367

1,389,217

(支出の部)

年報発行費

1,110,000

0

ジャーナル印刷費

200,000

0

郵送・通信費

180,000

58,088

アルバイト代

10,000

0

事務費・会議費

140,000

765,00

払い込み手数料

3,500

680

次年度繰越金

13,867

0

1,657,367

135,268

98年度第1号『通信』発送後、納入者27名(202,000円)

2月11日現在で滞納分を含めて会費未納者88名

会計担当幹事(坂 幸夫会員)の新住所

〒272-0144 千葉県市川市新井3−23−6

(年報在庫分購入のお願い)

 現在、年報在庫分の購入について引き続いてお願いしております(第3号から第8号まで、1冊購入は2割引、2冊以上の購入の場合は3割引です)。図書館などで購入いただく場合、通常のルートで購入申し込みをすると、学会収入にならなくなります。そこで直接、会計担当幹事(坂 幸夫会員)まで注文してもらう方法をとっていただけるよう工夫をお願いいたします。

 

VII.第10回大会について

先の『通信』の幹事会報告にもありましたが、1998年度の第10回大会の日取りは次のように確定いたしましたので改めてご報告いたします。

日時:1998年、11月2日(月)・3日(火−文化の日)

日程

11月2日(月)

午前中に工場見学(湖西市、鈴木自動車)

午後から一般研究報告、総会、懇親会。

11月3日(火)

シンポジウム(午後4時終了)

(ただし、11月1日(日)午後より幹事会を開きます。)

会場:静岡大学浜松キャンパス、佐鳴会館(大ホール200席、懇親会会場)
工場見学者はホテル指定

ホテル「ブケ東海」(浜松駅南口3分、シングル6,400円)

 

VIII.日本労働社会学会第2回幹事会議事録

(出席者)鎌田哲宏、鎌田とし子、京谷栄二、坂幸夫、田中直樹、藤田栄史、吉田誠、藤井史朗、合場敬子(オブザーバー)

(議題)

1. 第10回大会について

2.アンケート調査について

3.『通信』等のe-mail化について

4. 新入会者について

5. 次回研究会について

6. 会費値上げ案について

7. その他

 

IX.会員の移動について

 

第2回定例研究会のお知らせ

「シリーズ 戦後労働調査を語る」

報告者:八木 正氏(大阪市立大学、4月より広島国際大学)

コメンテーター:辻勝次会員、藤井史朗会員

日 時:5月9日(土)14:00〜17:00

会 場:日本大学会館・本部、会議室(203室) 地図参照

(JR、地下鉄「市ヶ谷」駅下車 徒歩5分)

※定例により、研究会の前に第3回幹事会を開きます。幹事の方は下記の通りお集まり下さい。

日時:5月9日(土)11:00〜14:00

会場:上記、日本大学会館・本部、会議室(203室)