日本労働社会学会『通信』

vol.XI, no.1(2000年1月)

日本労働社会学会事務局

群馬大学医学部
       保健学科地域看護・看護管理学講座(林千冬)


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  新年あけましておめでとうございます。昨年10月30日、31日には名古屋市大学にて第11回大会が、72名の参加にて盛況に開催されました。また、12月11日には、早稲田大学にて第1回の研究会が開かれ、活発な討議がなされました。この模様をお伝えいたします。年末のあわただしさの中、『通信』が遅れましたことをお詫び申し上げます
 また毎度のことで恐縮ではありますが、総会でも議論されましたように、本学会は なお経済的に逼迫しております。大会に欠席なさった会員には、2000年度および滞納分の会費請求書を同封させていただきました。事情をご了解の上、どうか早急にお振り込みお願いいたします。さらに、若手を中心に発表機会を確保しようとの『労働社会学研究』誌の安定的刊行のため、「カンパ再要請書」を同封いたしました。こちらの方もよろしくお願い申し上げます。
 本年も皆様のご発展を祈念しております。

I. 第11回大会報告

  1. 一般研究報告(1)(司会:鈴木良始氏)について
                         早稲田大学  山下 充
    1. 「Uddevalla工場の現在(Auto Nova 1999.10)と組立作業の未来」 野原光(広島大学)
       野原報告は,ボルボ・ウデヴァラ工場が再編されたオートノヴァ工場への調査結果 をもとに,ウデヴァラ工場で生まれたReflective Productionが,今日どのような意義を持っているのかを,シモーヌ・ヴェイユのテイラー批判を手がかりとしつつ,考察する。
       オートノヴァ工場は,高級車ニッチ市場に特化した製品生産をおこなう工場として 再編され,職場の管理階層も重層化している。ウデヴァラ工場では,長期の試行錯誤 と教育訓練がおこなれていたのに対して,現在は500名の新規採用者による操業をお こなっており,教育訓練への軽視が見られる。これらの要素が関係し,現在同工場のアブセンティーズムは,伝統的ラインとほとんど差がない状況となっている。
       にもかかわらず,長期的展望として,大規模投資が見合わないニッチマーケットに 対応した生産には,Reflective Production原理には有効性があり,ここにウデヴァラ経験者の集団的能力の資源投入をおこなう方向が検討されるべきであろう。
       Reflective Productionに対するLean Productionの生産性優位が主張されるが,マー ケットの趨勢をみれば,今後より注文生産的側面が強まり,そこに中規模工場の未来を見いだす可能性が存在する。
       報告後,生産効率性から見た今後の可能性について,ウデヴァラ工場の生産方式生成と政治経済的条件との相互関係などについての質問が出された。
    2. 「自動車労働とポストフォーディズム論争─実態調査からみた批判的検討─」 土田俊幸(長野大学)
       土田報告は,ポストフォーディズム生産として注目を集める日本的生産システムに おいて,日本の労働者における「強制された自発性」として形容される支配受容のメ カニズムに関する論点に焦点を絞り,自動車産業に関する主要な国内実証研究に関して,理論的整理をおこなった。
       これまでの実証研究における論点として,1.自動車組立ラインの労働内容と多能 工化について(多能工定義と「構想と実行」の分離の関係),2.QC活動・改善活動 の性格に関する論点(QC活動の合理化機能,統合機能,QWL実現の手段),3.職場 社会における競争の質について,4.職場におけるヘゲモニーの正統化,5.近年に おけるトヨタの変化,6.企業文化・職場文化・労働者の生活規範の変容をあげ,それぞれについて主要な論者の論点を展開し,問題点を整理した。
       報告後,分析事例間の差異をどのように一般化に反映されているのか,勤労意欲や 社会階層的視点の必要性,ポストフォーディズム論争を日本の研究者がどのような立脚点で議論すべきか,といった点について質問およびコメントがなされた。
    3. 「海外企業・日系企業の小集団活動について」 牧野泰典(立命館大学)
       牧野報告は,日本で展開し合理化手法として成果を上げたQC活動が,1970年代から 日本型の全社的QC活動としてアメリカをはじめとした海外諸国に再輸出されてきた状 況のなかで,海外企業・海外日系企業のQC活動を,普及度の面から三つに分類し,そ れぞれ関連文献・資料をもとに具体例を紹介した。
       1.日本型QCを採用した事例としては,アメリカロッキード社,アメリカホンダの HAM,韓国のQC普及活動がこれにあたる。2.部分的導入事例とは,QCサークルの登 録数は多いもののチームワーキングや多能工が不十分なケースを指し,イギリスのロ ールスロイス社,ブリントンズカーペット社,大企業でTQCやQCの導入が進み過渡期 的段階にあるイタリアの事例としてフィアット社,QWLの水準が高くQC活動の普及に 対して慎重なスウェーデンの事例などが,これに該当する。3.日本型QCが組合などの反対で導入失敗が見られる事例として,フランスではQCが労使対立の要因となり, 労使双方ともQCから撤退する傾向が見られ,カナダのGMとスズキの合弁企業CAMIでは,当初QC活動は一定の成果を上げていたものの,90年代に入り合理化偏重のQCに対して組合が強硬に反対するようになったケースが紹介された。
       報告後,QC活動に対する対価の問題,チームワーキング概念の定義について,労働 条件の実際の変化について,QCの普及度の判断とサークル数の関係について,質問とコメントがフロアから示された。
  2. 一般研究報告(2)(司会:奥村義雄氏)について
                           東京情報大学  柳田純子
    1. 「若年労働者の雇用管理と就労意識の変容〜長野県『若年就労意識調査』からの 考察〜」 石井まこと(大分大学)
       報告では、労働市場の急速な変化をはさんで実施された二つの調査結果が比較考察 された。雇用管理面では、労働条件改善項目の減少、信頼関係形成項目の減少、教育 訓練・能力評価項目の増加が見られた一方、就労意識面では、性別によって転職志向 や仕事志向・生活中心志向の増減に特徴が見られる点が指摘された。また若年労働者が、男女ともに将来的には生活中心志向を持つことから現在と将来の志向に開きがあることが問題提起された。
       質疑応答では、調査サンプル内の職種差や調査実施地域の土地柄の影響も考慮する 必要があること、転職志向には積極的側面もあるといった意見が寄せられた。また仕 事そのものに対する意識についても調査したかに対しては、ストレスについては尋ねたが仕事そのものについては聞いていないとのことだった。私見では、組織と個人の 関係が変容している現在、組織に対する意識に加えて、組織と個人を媒介する要素としての仕事に対する意識の変化を捉えることが若年者の30%に上る早期退職の予防 、労働組合活動の活性化等につながるのではないかと考える。
    2. 現代大学生の職業選択」 橋本哲史(武蔵大学大学院)
       報告では、大卒者の職業選択の特徴がいくつかの調査結果から指摘された。主要な点は、就職先企業規模が大学の入学難易度によって規定されていること、就職活動初 期の段階では就職先希望は大学の入学難易度に規定されることなく形成されること、 「グレーカラー」職種への就職が進展していること、マスメディアによる情報提供の 影響が大きいこと、である。
       質疑応答では、「グレーカラー」の定義に関する質問のほか、ホワイトカラー以外 の選考プロセスが異なるのは必要とする労働の質が異なるからではないか、産業構造 ・職業構造の変化を考慮に入れる必要があるのではないか、就職希望先と異なるところに就職したにもかかわらず満足度が高いのはなぜか、といった論点が提起された。 私見では、終身雇用制の変容に伴い若年層の職業選択の規定要因が、従来の大企業志向からどのように変化していくか長期的に考察する必要性を強く感じた。
    3. 「ドイツにおける従業員利益代表機能の実態と問題点〜電機産業の事例による報 告〜」 大重光太郎(Universitat Osnabruck)
      (時間の関係でやむを得ず中座したため、報告概要のみを記す)
       報告では、ドイツ電機産業の七つの事業所事例から事業所レベルにおける利益代表 機能の変化と現状が四つの分析視角から考察された。それに続いて、他のヨーロッパ諸国に比べ労働協約システムの相対的安定性を可能にした事業所レベルにおける制度的・主体的条件と「組織された分散化」の不安定化要因と展望が述べられた。
  3. 一般研究報告(3)(司会:坂岡庸子氏)について
                        大分大学  石井 まこと
     大会2日目の報告は(1)塚本一郎(佐賀大学)による「介護サービス分野のワーカー ズ・コープの日英比較」、(2)福井祐介(九州大学大学院)による「新しい労働運動と しての『東京管理職ユニオン』の可能性」、(3)中村広信(一橋大学大学院)による「 戦後労働争議史研究の再検討−労働者の妻への着目を通じて−」、以上3本である。
    順にその報告・質疑の概要について述べよう。まず、塚本報告は日英両国の介護分 野で協同組合が発展する諸要因を報告者が参加した調査をもとに考察したものである 。塚本は両国の共通点として、女性パートタイムが多く性別分業構造になっているこ と、利用者参加の仕組みがみられること、相違点として行政との密接な関係、組織運 営の公式化・制度化、支援機構の発展で英国が発展し、逆に日本では政治との関係、 組合間の横のつながりが充実していることを挙げている。特に、サービスの質を高め るための介護者の参加機能の充実について多くの時間が割かれた。それを受けて、フ ロアーからも利用者側の参加の仕組みついて質問が行われた。また、24時間対応など のサービスの量的増加に対する質の確保などの質問や、無償のボランティアが有償の 介護者の労働条件を低下させるのではないかなど報告の範囲を超える質問が相次ぎ、 本報告に対する関心の高さをあらわしていた。
     続いて、福井は東京管理職ユニオンについての詳細な報告を披露している。数年前 から同ユニオンに足繁く通いながらその活動の全貌を詳細にまとめ、その可能性につ いて検討した報告であった。しかしながら、その活動内容の詳細な点についての調査 はフロアーからも賞賛の声が聞かれるなか、その可能性の検討について報告において 論理的な展開がなかったことで、当該労組の「新しい労働運動」の意味についてのや りとりが行われた。たとえば、女性ユニオン、コミュニティーユニオンなど非年功労 働者の組合との相違をどう理解するのか、あるいは企業別組合と管理職ユニオンの対 立事例の存在をどう考えるのかといった既存組合との相違をどう考えるのかといった 質問の他、メンバーの就業構造や、定着率からの考察を加えた「新しさ」の検証を促 したり、運動の成立背景をもう少し整理することを勧めたりといったように「新しさ 」の内容を構造的具体的に明らかにすることが強く要求された。それは報告者の詳細 な調査を無駄にしないための的を射た要求であり、それは裏を返せば報告者への期待 の高さを現している。これらを踏まえた研究成果発表が待たれるところである。
     最後の中村報告はいわゆるジェンダー視点で労働争議史を捉え直そうという壮大な 試みだ。これまで労働争議史は職場(生産点)を中心に論理構成されてきた。一方で 企業は家族モデルの形成を通じた労務管理により労働者の統合を図ってきたことはよ く知られているところだが、その家族(再生産領域)における抵抗と受容についてこ れまで検討されてきていないところを埋めることで争議史の新解釈を作りあげようと している。中村はとりあえず、日鋼室蘭争議や三井三池争議について検討しており、 特に社宅で展開される労働者の妻たちの消費運動の検討に焦点を定めている。これに 対し、フロアーからこうした視点からの研究意義を強く認識する一方で、妻たちの消 費運動が急速に消えてしまう限定的な勢力であったことをどう理解するのか、あるい は社宅の構造を異にする都市部の大争議との比較がなされる必要性が説かれたりと、 こちらも若い研究者が新しい領域を開こうとする真摯な姿勢を受けて次々とフロアー から研究への注文が飛び出した格好になった。
    以上のように2日目の報告は3名とも新しい研究分野を開こうとする意欲的な報告であり、今後の進展が待ち望まれるところである。研究対象への接近方法、足でかせぐ調査スタイルなどいろいろと勉強させて頂いた報告であり、報告者に敬意を表したい。
  4. 「特別報告」(藤井治枝氏・渥美玲子氏 司会:木本喜美子氏)を振り返って
                           千葉大学大学院  三枝 麻由美
     本大会の特別報告は「女性労働」をテーマに、マクロおよびミクロレベルでの視点 からそれぞれ発表が行なわれた。まず、前半の藤井治枝氏の報告は、マクロ的視点か ら現代日本社会が経験している労務管理の変容が働く女性にどのような影響をもたら しているのかという内容であった。藤井氏は現代日本の労務管理の変容の特徴を、経 団連が1995年に発表した『新時代の「日本的経営」』での主張に位置付け、単線型の 集団主義管理から複線型の個人主義的管理への移行だと論じている。徹底したコース 別採用を基軸とする複線型・個人主義的管理への移行は特に賃金管理に顕著に現われ ており、多くの企業が家族扶養を前提とする生活給的世帯賃金から能力給を前提とす る個人賃金への移行を推し進めている。
     この転換はフレキシブルな雇用管理を展開をさせ、個々人の無権利化、組合の弱体 化、労働強化などをもたらし、しいては雇用不安を生む側面がある。しかしながら、 藤井氏は労務管理の変容がこのような負の側面を労働者にもたらしていることを十分 に踏まえながらも、一方の労働者側にこれらの変革を受容するような動きがあること が見逃せないと指摘する。藤井氏はこの指摘の裏付けとして、若年層の性別役割分業 への意識変容をあげている。近年、若年男女において「男=世帯の稼ぎ手」「女=生 活・家庭の支え手」というこれまでの性別役割分業を否定する者の割合が肯定するも のを圧倒的に上回っており、「世帯の稼ぎ手」と「そうでない者」との区分けを前提 とする労務管理から個別的でフレキシブルな労務管理への移行と、働く側の意識変容 とが一致する面があることが論じられた。
     藤井氏はまた、この労務管理の変容は特に女性に対して選択の幅を広げる可能性を持っていると主張する。従来の労務管理のもとでは、女性は「異質な労働者」として一括りにされ、採用段階から「早期退職・就労の中断・パートによる再雇用」といった一定枠組みを与えられてきた。しかしながら個別的労務管理においては、女性にも基幹職への登用や男性と同等に働き続ける環境が開かれることになる。その他にも勤務形態の多様性・柔軟性により、フレックスタイム、在宅勤務などの普及が進めば、家庭的役割と仕事との両立を求められる女性労働者にとっては働きやすい環境が提供できる。そしてキャリアコースの多様性・柔軟性により、個々人に自らのキャリアコースを選択させる制度としてコース別雇用管理や社内応募制度、さらにキャリアの中断を選択させる制度としての選択定年制や育児・介護休業制度などが、結婚・出産などにより複線型のライフプランを余儀なくされる女性にとってはメリットとなるであろう。
     しかしながら実際のところは、これらの労務管理の変容が女性労働者に対してもたらすプラスの側面は、あくまでも可能性のレベルで留まっていると藤井氏は指摘する。その第一の理由として、このような恩恵を受けられるのは一部のエリート層の女性に限定されている。第二に、そして特に重要な論点として、これらの様々なフレキシブルな雇用管理を支える社会的基盤の未成熟さである。子育てなどの家事労働をどのように評価して、その特性的役割を個人の業績評価にどのように反映させていくのか、また他の先進諸国と比較して正社員とパート労働者間の大きな賃金格差をどう是正するのかなど、社会全体で取り組まなければならない問題が多々ある。女性が主体的にキャリアコースを選択し、働きやすい環境を得るためには、労務管理の変革だけでなくこうした社会的インフラ作りが是非とも必要とされる。しかしながら現状においては、これらの後押しがないことに加え、労働者派遣法の改正、女子保護規定の撤廃などの労働法制の改変により、近年の労務管理の変容は反対に女性労働者の労働環境を一層厳しくしていると藤井氏は述べている。
     以上でまとめたように、近年の労務管理の変容が女性労働者に与える影響はマイナス面の方が見つけやすく、プラス面は可能性レベルに留まっている状況であるが、藤井氏は、このプラス面を現実化するためには従来のような労働市場や労務管理のもとで男女が「対立」するのではなく、労働権の保障を確立し、働きやすい環境を実現するために男女の「共生」がかかせないと主張する。すなわち、男性並みに働き、男性と競合するのではなく、職場・家庭・地域生活の併立を可能にしつつ、男女の共生を実現できる働き方を確立していくことが重要だとする。具体的方策としては、(1)労働時間の短縮、(2)男女の意識改革、(3)育児のための制度改革、(4)介護制度の確立、(5)住宅問題の解決、(6)最低賃金の底上げおよび雇用保険の加入対象枠の拡大・給付額・給付期間の増加があげられている。
     それでは、ここで藤井氏の報告に関する感想を簡単に述べたい。まず、近年の労務管理の変容は女性労働者に対してプラスに作用する面があると考えられるが、社会的インフラの未整備でそれが実現化していないという藤井氏の指摘は正にその通りである。今後は、一体どうすれば実現化されるかをじっくりと議論していかなければならないだろう。藤井氏は報告の中で6つの方策を提案しているが、それらを一つ一つ掘り下げて、なにがどうなるとどういう効果がでるのか、実現化しやすいものは一体そのなかでもどれなのかという今後の分析を期待したい。
     つぎに、藤井氏の論点である男女の「対立」から「共生」へというのは、大枠としてはそのような方向へ進んでいるとも思われるが、実際はもう少し違ったものになっているように感じる。藤井氏も指摘しているように、最近の労務管理の変容は少数エリートと多数のフロー型との二極分解を助長しており、男と女の対立というよりもエリート対フロー型との対立に図式が変わってきている。この図式変換は必ずしも男女の共生をよぶものではなく、男女の垣根を越えてエリート対その他という対立になりつつあるのではないだろうか。
     また、今回の報告のなかでは労務管理の変容を分析する際に、人口学的視点の重要性を改めて感じた。藤井氏が述べていたスウェーデンの例にみられるように、小子化による労働力の希少化は労働力の価値向上をもたらす側面をもっている。日本の場合は小子化だけでなく、団塊世代が労働市場から退いた後の労働力人口の減少も労働力の希少化に拍車をかけることになる。労働力豊富の時代から希少化に転ずることは、労務管理の変容を促進する大きな要因となりうるということを再認識させられた。
     後半の報告は、渥美玲子弁護士による商社の女性従業員に対する雇用差別の事例紹介であった。最近の日本の労務管理は、前半の藤井氏の報告にも述べられていたように、能力主義的色彩の濃いものへと変容を遂げているにもかかわらず、事例として紹介された岡谷鋼機は、ジェンダーという属性のみによって「男=基幹職」と「女=補助職」とに振り分けてしまう人事制度をいまだに保持している。これに対して、国際化や経済不況などにより企業間競争が一段と厳しいものになっている現状のなかで、個々人の能力をまったく無視した人事制度を持つことが果して競争に生き残るための効果的な手段と成り得るのかと大きな疑問をもたされる。しかしながら、討論のなかで会場から指摘されていたように、岡谷鉱機は今日まで市場競争の波にほとんどさらされていない環境にあったために、性別を問わずに個々の従業員の能力や貢献などを評価することなく、男女差別色の非常に濃い人事制度を温存することが可能であったと理解される。
     現場における事例紹介は、労務管理の変革がマクロレベルでは体系的に見ることができても、ミクロレベルでは市場競争化を始めとする労務管理の変容をもたらす様々な要因がすべての職場で一律に作用するのではないために、その変容も強弱をもって現われていることがわかり興味深い。岡谷鉱機の場合は、競争化にあまりさらされてこなかったことを背景に、コース別雇用制度や職能給の導入などのマクロレベルでみられる労務管理の変容を形式的には取り入れながら、実態はそれらの制度を女性労働者に対する差別を固定化するのに都合の良いように導入し、運営を行なっているのが特徴である。報告の中では女性従業員に対する雇用差別の実態は詳しく述べられたが、男性従業員間ではどのような労務管理を行なっているのか、また労働組合の関与の変遷などがあまりわからなかった。これらについて今後詳しく分析をしていくことが、女性従業員に対する雇用差別に関して、さらに洞察を与えることになるのではないだろうか。
     渥美氏による現場サイドからの報告は力強く、多くの示唆に富むものであった。女性労働者に対する差別や男女間格差に関する労働問題研究は数多く存在するが、そのほとんどが体系的なものや制度的な分析であり、現場レベルでの女性労働者差別はこれまであまり取り上げられてこなかったように思われる。特に、女性労働者に対する雇用差別裁判に関する研究というのは、働く世界で実際に起きている問題が露呈されているにも関わらず、労働社会学の分野においてほとんど手がつけられていない領域であると痛感した。

     

II. 工場見学報告

                         広島大学大学院  池田 綾子

 11月1日朝8時過ぎ、小雨がぱらつく中、JR名古屋駅から快速で30分、岡崎駅に到着する。駅から会員同士がタクシーに乗り合わせて、工場見学先のソニー幸田株式会社へと向かう。十数分後、広大な緑に囲まれた敷地に、その工場は建っていた。ソニー幸田は、1972年に設立された100%ソニー出資の製造子会社で、ビデオ専門工場として操業を始めた。現在、従業員3,700名、資本金20億円、売上高2,356億円(98年度)で、ビデオカメラ月産25万台、デジタルスチルカメラ月産15万台などの生産能力を持っている。今年、均等推進企業として、女性少年室長賞を受賞した「女性社員の活性化」に前向きな企業であるという。
 広々とした清潔なロビーで38名の会員が揃うのを待ち、10時には会議室で会社概要を伺う。ソニー本社のカンパニー制への移行(事業所間競争を促進)・業界のボーダレス化・円高による国内生産の空洞化に加えて、93年以降の日本経済の低成長といった厳しい経済環境に、我々は対応しなければならない。そこで、人も設備もフレキシブル・ミニマムコストにする生産革新の思想が模索され、市場ニーズに応えるモノづくりとして、セル生産(1〜40名のグループ生産)という生産形態を採用するに至ったという。
 それでは、セル生産が採用されている作業現場(主に組立職場)で展開されている「女性社員の活性化」とは如何なるものか。120mあった直線ベルトコンベアを廃止し、43グループによる製品別流れ生産ライン(セル生産)を形成し、そこにライン別P/L(利益管理)を導入した。同時に、それまで男性の補助業務を担っていた女性スタッフに、リーダーとしてラインを自主運営させた。現在は、20歳の女性リーダーが誕生したりもしているが、もと男性リーダーの意識変革が最大の問題であった。また、ラインリーダーであった男性社員を製品設計や開発業務へ異動させた所、基板回路にチップ電子部品を接合する実装機を開発し、外販するに至ったとのことである。
 この話を自分の目で確かめるべく、10:30から1時間、二つのグループに分かれて工場見学へ。セル生産の現場を見ることができたのは、4名で日産4台程度の業務用プリンター最終組立セルと40名で(セル全体の平均で、500台/8時間)生産していたDVビデオカメラ最終組立セルであった。前者は、台車に製品を乗せて、自分の作業を終えたら台車ごと次の加工場所へ移動させていた。後者は、サイクルタイム15秒程度で自分の作業を終えたら、隣の工程に製品を手で送っていた。調整のように信号を書き込むような手作業が難しい作業のみがロボット導入されていたが、人の作業の流れを損なわないことが原則とされている。工場全体43セルのうち、半数はビデオカメラを製造しているという。確かに女性リーダーがラインを統括していたが、ワークセル作業者の大抵が女性で、数少ない男性は若者か日系人が大半であった(後から聞くと、セット組立職場に限っても女性リーダーは50%程度とのこと)。
 さらに、この工場はセル生産だけが採用されているわけではなかった。基板に装着する部品は月に8億個生産されているが、加工は全て自動でなされ、人は部品補充・はんだ補充・機種切り替えを行う。同様に、製品投入と製品取り出しのみ手作業というのが、バッテリー組立(10種類生産、月産能力35万本/2ライン)であった。これに対して、ビデオCCDブロックは、クリーンルームかつ無照明という完全自動化された1ベルトコンベアラインで月に25万台生産されていた。つまり、この工場では、製品の生産量・種類数・製造工程等に適応的な生産ラインの形成がなされ、セル生産はその一環に過ぎないのである。とはいえ、生産現場を任された女性リーダーの堂々たる態度は、印象的であった。
 11時30分、会議室に戻って、質疑応答が始まる。鋭い質問と応答が飛び交う。以下、少し列挙してみよう。★従業員の内訳は?→正社員2100名、業務委託1600名(内600名強が日系人)。男性1550名、女性2150名。★作業姿勢への不満は?→作業者本人とセルリーダーとの話し合いで解決。セルを作る権限はリーダーにある。★女性正社員の平均勤続年数・セル方式採用後の定着率は?→18歳で入社、25歳で結婚して退職するので概ね7年。定着率は傾向として長くなっている。★女性の夜勤勤務は?→今年4月より業務委託を中心に採用(一日の勤務時間は9:00-18:00、21:00-6:00)。★出産休暇や育児休暇の制度は?→最低限の制度は用意しているが、それ以上について、今は自助努力でという方針。ただし将来的には課題かなと考えている。……この位で列挙をやめておくが、ここに書ききれないほどの質問が活発に出され、12時過ぎにはソニー幸田を後にした。
 午後からはオプション見学として、八丁味噌の本家本元(旧八丁村にある)カクキューにお邪魔させていただいた。味噌を熟成させるのに使う桶(六尺)は、杉の木製、半径2m×高さ4.6m、重さ4トンという巨大な桶で、100年は保つという。三角柱の形に石を積まれた合計13トンの六尺が100本近く並んでいる熟成蔵ならびに三年の熟成期間というのには驚かされた。帰り際、持たせてくれたお土産(赤だし味噌)にカクキューの心配りを感謝しつつ、今日の工場見学の全行程を終えた。岡崎の雨はすっかり止んでいた。

 

III. 第11回総会報告

 第11回総会は、10月31日(日)12:40〜13:30、名古屋市立大学201教室において開かれました。冒頭、田中代表幹事より、この1年の入会者が21名、退会者1名であり、1999年9月30日現在の会員数が230名であること、またこの1年の幹事会・研究会の開催、『通信』・『年報』・『労働社会学研究』の発行などについて報告されました。その後各委員会代表より活動報告と事業計画が述べられ、大黒会計担当幹事より下記のように1999年度決算報告および2000年度予算が提案されました。
 質疑では特に会費収入および年報など販売収入を増やしているにもかかわらず生ずる40万円弱の赤字への対策について質問が出され、入会者増、未納者への対応による収入増と郵送費の節約、年報などの販売促進、カンパ要請などの必要が指摘されました。

    1999年度決算報告、2000年度予算(略)

IV. 第1回研究会報告

 昨年、12月11日(土)14:00〜17:30、早稲田大学人間総合研究別室において、第1回研究会が開催されました。その模様を報告いたします。

  1. 伊原亮司(一橋大学大学院)
    「労働概念の整理−トヨタ生産システムに関する論争の整理を通じて一」
                     名古屋市立大学人文社会学部 藤田 栄史
     伊原報告の問題意識は、かって競争優位の源泉といわれた日本的生産システムの見直しがせまられているなかで、見直されつつある生産システムの下における生産現場や労働を把握し評価するためにも、日本的生産システムに関する論争を整理しておく必要があるという点におかれていた。
     伊原氏は、こうした問題意識にもとづき、日本的生産システム論争の成果から学びとれる論点を抽出しようとするが、その際、労働概念の整理作業が必要であることを強調する。 そして、伊原氏は、労働を「物理的な面」と「機能的な面」とに概念的に整理する。こうした労働概念の整理に基づき、小池和男、野村正實、熊沢誠、野原光、湯本誠らの間で交わされた論争を検討した結果が、伊原氏の報告の中心点であった。
     伊原氏は日本的生産システム論争を整理するうえでは、労働の「物理的な面」として、(1)労働の「質」と「量」との区別を明確にすること、(2)「現場の経験から形成される熟練」と「科学の意識的応用する科学的知識」との区別、が重要であるとし、「現場の経験から形成される熟練」としては、解体された手工的熟練よりも「工程を再結合する能力」に注目する。また、労働の「機能的な面」として、「構想機能・実行機能・評価機能」の区別が必要であり、現場労働者の労働に対する統御力を把握するには、構想機能と評価機能における統制のあり方に着目する必要があると指摘した。
     討論では、労働の「物理的な面」と「機能的な面」という伊原氏の概念に質問が集まった。研究会参加者は労働概念の整理よりも日本的生産システム論争の問題に関心を持つだろうと想定したためだと思われるが、伊原氏の研究会報告では、日本的生産システム論争を整理することに報告を集中していた。このため、労働概念に関する追加説明を求める質間が出されることになった。
     また、こうした論点整理を、見直されつつある日本の生産システムに関する実証的研究にどのように生かしていくのかという、研究の今後の方向性に関する質問も出された。この点にかかわって、伊原氏は、技術と労働との関係について今後深めていきたいと述べた。 近年、九十年代における日本的生産システムの変容に関する研究成果が次々と刊行されている。こうした研究は、「現場主義」による生産管理・改善活動の展開から、研究開発部門・生産技術(準備)部門・工場現場部門を貫くシステム全体としての効率化に、日本の自動車・電気機器産業の合理化の焦点が移っていることを共通して指摘している。システムとしての効率化を図るには、生産性向上のための新しいコンセプトを明確に打ち充てることが必要であり、生産管理の技術や開発・生産準備・生産をシステム的に統合するための組織や技術のあり方が重要な意味を持つことになるだろう。技術と労働との関係をさらに堀り下げていきたいという伊原氏の今後の研究が、こうした日本の生産システムの新段階の分析に貢献し成果をあげることに期待したい。
  2. 村尾祐美子(御茶ノ水女子大学大学院)
    「仕事の場における事柄決定力とジェンダー」
                       日本女子大学大学院  引馬 知子
     報告は、仕事における事柄決定力の量の決定メカニズムを、SSMデータ(1995年)の一部を使用し重回帰分析を行うことにより再検討するものである。その背景には、報告者による先行研究に対する2点の批判がある。第1点は、事柄決定力をめぐる力関係は、時代や地域や企業などにより変化するとの視点が欠けていることである。第2点は、労働者と経営側の力関係に集中する研究が多いことから、労働者を可能な限り一枚岩と捕らえ、異なる雇用関係にある労働者間(女性が多い非正社員と男性が圧倒的に多いブルーカラーの正社員間等)の力関係を不問にしていることである。
     仕事における事柄決定力を決定する仮説としては、以下の5つがあげられた。(1)「職業」仮説。専門性や熟練度の高い者、管理的職業に属する者ほど事柄決定力が大きいとする説(変数は、SSM職業大分類と職業威信)。(2)「組織での地位」仮説。組織内部の地位が高い方が、事柄決定力を有するいう説(変数は、雇用形態、役職有無、勤続年数)。(3)「本人属性」仮説。本人の属性が、事柄決定力の多寡を決定する説(変数は、性別、教育年数、年齢、配偶者有無)。(4)「組織文化度」仮説。組織が細分化しているほど、平社員および極一部を除く管理職の事柄決定力は限定されるという説(変数は,企業規模)。D「ジェンダー」仮説。非対称である男女間の関係が、男性または女性の事柄決定力の多寡に影響を及ぼす説(変数は、職業女性比率、職業同性比率)。
     分析結果としては、主に3つが指摘された。第1に、全体的には、職業仮説、組織の地位仮説、組織文化度仮説が支持を得たことである。第2に、男性雇用者においては、組織文化度仮説、組織の地位仮説、ジェンダー仮説が支持されると共に、本人の属性は重大な影響を与えないことである。第3に、女性雇用者においては、本人属性仮説、組織の地位仮説が支持されたことである。これらを踏まえ、ジェンダー仮説が男性雇用者においてのみ支持されたことから、男性雇用者は職場における女性の存在から利益を得ていること、事柄決定において男性雇用者のみならずジェンダー間の関係性を考慮した分析を行う重要性が明らかになったことがまとめられた。
     報告に対して、事柄決定力における"意志決定"や"力の発揮"をいかに位置付けるか、取り上げられたSSMデータの質問項目に対して回答者は何をイメージしたのか、本検討が現状の認識や課題にいかなる示唆を与えるのか等の質問が出され、活発な議論が行われた。

V. 今年度の研究会、大会などの日程について

後述のように、12/11日の幹事会において、今年度の研究会、大会の日程が次のように確認されました。よろしくお願いいたします。

VI. 『年報』編集委員会よりのお願い

1. 募集する原稿は、論文・研究ノート・書評・海外動向等とします。

2.投稿予定のある方は、下記の連絡先までハガキで投稿予告をしてください。予告ハガキには、原稿の分野(論文・研究ノート・書評・海外動向の別)、仮題名予定枚数、書評の場合は対象とする書物の書誌データ(編著者名・書名・発行所・刊 行年・定価)を明記して下さい。 投稿予告締め切りは、論文・研究ノートが2000年2月29日、書評・海外動向は2000年4月30日です。

3.投稿締め切りは論文・研究ノートが4月10日、書評・海外動向は5月31日です。原稿は下記の連絡先まで郵送して下さい。

4.著書を書評で取り上げることをご希望の場合は、下記の連絡先までお早めにご一報下さい。

5.編集規定、年報投稿規定については、年報10号の巻末をご覧下さい。執筆要項は下記の通りです。

 *『年報』編集委員会連絡先*
〒214-8565 川崎市多摩区西生田1-1-1
         日本女子大学人間科学部社会福祉学科
                        編集委員長 秋元 樹 宛

日本労働社会学会年報執筆要項

  1. 原則として、400字詰原稿用紙60枚以内(図表等を含む)とする。ワープロによる執筆の場合は24000字以内とし、図表等は一枚あたり400字と換算する。
  2. 研究ノート、書評、海外動向等は、原則として400字詰原稿用紙20枚以内(図表等を含む)とする。ワープロによる執筆の場合は8000字以内とし、図表等は一枚あたり400字と換算する。
  3. 論文については、日本語以外による、題名と300語以内の要約を添付する。
  4. 引用文献の記述は次の形式による。
    1. 本文には引用する著書・論文の著者名と発行年、必要な場合には引用頁を次の形式で記載する。同一著者、同一出版年の文献を複数引用する場合は、出版年の右肩にa、b、c ・・・を付す。この記号は、本文中で主語等として用いることができる。
      著者名 [出版年:該当頁]    例)労働一郎 [1995a:100]
    2. 著書の場合には、著者名、出版年、書名、出版社を記載する。日本語の書名は『』で囲み、欧文の場合はコンマで区切る。
      例)労働一郎, 1995『労働社会学概説』, 労社書店.
        Marx, K., 1867, Das Kapital, Dietz.
    3. 論文の場合には、著者名、出版年、題目、雑誌等名(または掲載書名、掲載書の記載の仕方はii.に準ずる)、巻号を記載する。日本語の論文名は「」で囲み、欧文の場合はコンマで区切る。
      例)労働一郎, 1995, 「労働社会学の展望」『労働社会学会年報』第10巻.
        労働一郎, 1995a, 「労働社会学の課題」労働二郎編『労働社会学入門』労社書店.
  5. 図表等は別紙に記載し、論文中に挿入すべき箇所を指定する。
  6. 可能な限り、論文ファイルの記録されたフロッピーディスクを添付する。フロッピーディスクの形式は、国内で一般的に使われているものならば何でも良い。

VII.  『労働社会学研究』編集委員会よりのお礼とお願い(『労働社会学研究』カンパ再要請書)

 「労働社会学研究」(通称『学会ジヤーナル』)のカンパ要請に対して33名の会員の方々よりご寄付を頂き、誠にありがとうございました。これから幹事会および編集委員会におきまして、寄付金の最善の利用法について検討させていただきたいと思っています。
 さて、今春発刊しました『学会ジャーナル」の創刊号には60万円の発行費用を計上しました。さらに、次号では掲載論文数の増加が予測されており、それに伴った発行費用の高騰が予測されています。
 しかし、販売促進体制の確立が未だしっかりと固まっていない現状では、『学会ジャーナル』の発行費は主として学会からの援助と執筆者負担となってしまいます。若手育成を謳った雑誌の性格上、なるべく執筆者負担は低く抑えておきたいとは思っておりますが、それも難しい状況にあります。また、学会財政のほうも、昨年の会費値上げにもかかわらず、依然苦しい状況にあると開いております。
 以上のような財政状況を鑑みますと、『学会ジャーナル』の財政的基盤をしっかりと確立しておくことが何よりも必要であると思われます。そのため、まだご寄付をなされていない会員の皆様方に是非とも、この機会に今一度のご寄付をお願いしたく思い、再度、振り込み用紙を同封させていただきました。前回と同じく、一口5000円とさせていただきます。『学会ジャーナル』の安定的な刊行のために、なにとぞ御浄財をお寄せくださるようお願い申し上げます。
※なお、2000年1/10現在、カンパご協力いただいた方のリストは以下のとおりです(( )内は口数)。

 林大樹(2)、芳賀寛(2)、野原光(2)、八木正(2)、岩内亮一(2)、藤田栄史(3)、笠原清志(2)、河西宏祐(10)、鈴木良始(2)、鎌田哲宏(10)、坂岡庸子、松田昇、野畑眞理子(2)、松永泰輝、藤井史朗(2)、木本喜美子、中田重厚、奥村義雄、浅生卯一、藤山嘉夫、鎌田とし子(10)、坂幸夫(2)、田中直樹(12)、野村正實(2)、鷲谷徹(2)、萬成博、北島滋(2)、京谷栄二(4)、鈴木富久、今城義隆(2)、林千冬、土田俊幸、大黒聰、秋元樹(4)、橋本哲史、山下充、吉田誠(以上、37人、98口)。

VIII. 会計よりのお願い

 新年度開始にあたり、2000年度会費の納入をお願いいたします(先の大会でお支払いいただいている会員の方はのぞく)。該当の方には、封筒に振り込み用紙を同封いたしましたのでよろしくお願いいたします。すでにご承知とは思いますが、本学会は現在大変厳しい財政状況であり、会費の滞納はただちに財政上の困難をもたらします。この点をぜひご理解下さるようお願いします。
 1999年度以前の会費を滞納されている方がおられます。この際ぜひ併せて納入をお願いいたします(滞納分については、別紙「会費納入のお願い」に記載してあります)。全額が難しい場合は分割でも結構ですので、よろしくお願いします(分割については、そのむね通信欄にお書き下さい)。
 「日本労働社会学会年報」バックナンバー(3号以降)の在庫があります。この販売は学会収入となりますので、ぜひご協力をお願いします。お申し込みは下記会計幹事まで(直接書店に申し込みますと学会収入にはなりませんので、よろしく)。

会計幹事   大 黒  聰
      〒 239-0846
      住 所  横須賀市グリーンハイツ5-1-204
      電話/FAX  0468-49-5767
      E−mail  XPJ11988@biglobe.ne.jp

IX. 日本労働社会学会第6回幹事会議事録

 1999年10月30日(日)11:00より12:30まで、名古屋市立大学社会調査実習室において、第6回幹事会が開催された。
 出席者は、田中直樹、秋元樹、大黒聰、河西宏祐、北島滋、京谷栄二、鈴木良始、土田俊幸、藤田栄史、山田信行、吉田誠、鷲谷徹、渡辺雅男、藤井史朗(以上14名)。

  1. 第11回大会・総会について
    1. 大会準備状況
      藤田幹事より、大会参加が64名、工場見学が42名参加の予定である旨報告された。
    2. 総会準備状況
      事務局より、この1年の入会者が21名、退会者が1名である旨報告された。
       田中代表幹事より、日本学術会議関係、幹事会開催、研究会開催、『通信』の発行等について報告された。
       秋元年報編集委員長より、第10号の発行がこの大会に間に合った旨報告された。
       河西ジャーナル編集委員長より、第2号の原稿を10月28日に締め切り、査読に入った旨報告された。
       大黒会計担当幹事より、前回幹事会での意見を採り入れて予算案を一部修正した旨報告された。
  2. 報告・審議事項
    田中代表幹事より、退会者1名の再確認とこの間入会者が3名あった旨報告された(なお、この後新入会者がもう1名追加)。
    田中代表幹事より、長期会費未納者を会則どおり除籍にすべき旨提案があった。これについて議論し、3年以上滞納者が18名いること、また宛先不明者が14名いることが確認された。また、この1〜2ヶ月で、長期会費未納者及び宛先不明者への直接の連絡を各幹事及び事務局が追求した上、3年分の滞納会費の支払いを求めた上で、再入会を求める旨確認された。
    研究会の活性化について、田中代表幹事より、地方会員に発表機会を広げるため、在庫『年報』の販売などによって財源を確保し、旅費を支給する計画が提案された。
     田中代表幹事より、文部省国際局より国際シンポジウムに関わる科研費申請書類が来ていること、来年以降対応を検討する旨報告された。
    藤田幹事より、次回大会シンポジウムのテーマについてのアンケートをとる旨提案された。
     事務局より、書評依頼が来ている旨報告された。
     藤田幹事より、研究会での発表予定者を『通信』によって募ること、また直接にメールにて依頼することが提案された。
     次回の幹事会を12月11日に開催することが確認された。

X. 第1回幹事会議事録

1999年12月11日(土)11:00〜12:30、早稲田大学人間総合研究センター別室(本部・高田牧舎2階)にて、第1回幹事会が開催された。
(出席者)田中、青木、大黒、河西、藤田、山田、吉田、鷲谷、渡辺、林、藤井(以上11名)。

(報告事項)

(審議事項)

XI. 会員異動

(プライバシー保護のためWEB版では住所等は略してあります)

  1. 新入会員
  2. 住所変更・追加

 

第2回定例研究会のお知らせ

報告者

小池隆生(専修大学経済学研究科大学院)
「アメリカにおける貧困問題と対応策の断面 ―クリントン福祉改革の到達―」

Lili Katsuco Kawamura(筑波大学地域研究研究科)
「Brazilian workers in Japan:Strategies and new cultural patterns」

日 時:3月18日(土)14:00〜18:00

会場:早稲田大学高田牧舎2階人間総合研究センター別室
(併せて、第7回幹事会を11:00〜より開催しますので、幹事の皆様はご参集ください)

※定例により、研究会の前に第2回幹事会を開きます。幹事の方は下記の通りお集まり下さい。
日時:3月18日(土)11:00〜13:40
会場:早稲田大学人間総合研究センター別室(本部・高田牧舎2階)地図参照。